第8話
「あ! 課長。おはようございます」
事務所に入った俺を出迎えたのは、新入社員の
「北村。こんな時間に『おはようございます』はないだろう。それとも、遅刻して来た俺への皮肉か?」
「いえ……そんなつもりは……」
「ふん!」
俺はこの新入社員が嫌いだ。
理由は顔が良くて、女性社員達にちやほやされているから。イケメンは俺の敵だ。
さらに気に食わないのは、これだけ顔が良いのに女を口説こうとしない事。
顔が悪くて女にふられまくっている俺から見たら、贅沢な野郎だ。
「ところで、さっき玄関で社長とすれ違ったのだが、どこへ行ったのだ?」
「ああ! 警察に呼ばれまして」
「警察?」
社長、何かやらかしたのか?
警察に呼び出されるなんて、俺みたいな善良な人間には縁のないイベントだな。
「何でも、事故現場へ行くそうです」
「事故現場? なんの事故だ?」
「だから、課長の乗っていた電車の事故現場ですよ」
「なに?」
社長が、なんで俺の巻き込まれた事故現場に?
は! もしかして、俺の代わりに遺族から損害賠償を取り立ててくれるのか?
良い社長じゃねえか。
「事故でお亡くなりになった方は、社長のお母様なのですよ」
「は?」
今、こいつ何て言ったんだ?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます