第三十八話 これはプライベートのお遊びです。*デートではありません。
風花とプライベートお遊び当日。
決して、デ〇トではない。くれぐれもデー〇ではないことだけは強調しておく。
「少し早く来すぎたか……」
待ち合わせ場所に到着後、時計で時間を確認したが、随分と早く着いてしまった。
車は駐車場に置いてある。
迎えにいこうといったが、今日は待ち合わせがいいですと言われてしまった。
よくわからなかったが、
にしても、何とも不思議な気持ちが湧き出ている。
今まで何度も顔を合わせているというのに、初めて会うくらい心臓がドキドキしている。
うーん、なんでだろうか。
……って、あれ?
随分と早く来たはずが、そこには見知った顔が立っていた。
いつもよりご機嫌な顔で、鼻歌でも歌っているかのような顔で。
「……合ってるな」
再度時計を確認してみたが、予定の30分前だ。
別人かと思ったが間違いない。風花だ。
とはいえ、帽子と眼鏡で上手く溶け込んでいるのでぱっと見本人とはわからない。
大人ならいざ知らず、人気とはいえ変装している子役を見破るの並大抵ではないだろう。
対して俺はデニムに白シャツだが、大丈夫だろうか。
「おはよう、早くないか?」
「え? あ、あれ? 式さん! おはようございます!」
ペコリと頭を下げる彼女。やはり風花だ。
今日は動きやすい恰好でいきますねと言っていたが、スラリと長い足にショートパンツはよく似合っている。
「時間合ってるよね?」
「えへへ、早く着いちゃいました」
それにしても随分早いが、まあ俺も人の事を言えない。
言及されると恥ずかしいのでサラリと流すことにしよう。
「でも式さんも――」
「よし、行こうか!」
「あ、誤魔化した」
さあて、プライベートお遊びの始まりだ。
◇
「式さん、キョロキョロしすぎです」
「で、でも俺浮いてないか?」
「浮いてませんよ、お兄さんだと思われてると思います」
「お兄さんだったらいいんだが……お父さんじゃないかな?」
「うふふ、考えすぎですよ」
駅から移動し、入口の長蛇の列に並んでいた。
既に軽快なBGMが流れ、男女のカップルに家族連れが大勢いる。
ここは某有名な『テズニーランド』。
奥には、ヨーロッパ風のピンク色の城がそびえていた。
「えへへ、子供以来です」
「いうて今も子供だけどな」
「む、もっと小さい時ですよ!」
ツンとした言い方だが、その表情は柔らかい。
「先に行っておくが絶叫系は苦手なんだ」
「そうなんですね、それは楽しみです!」
「会話が成り立ってない……」
とはいえ楽しみだ。俺も最後に来たのは学生以来な気がする。
そう思えば随分と久しぶりだな。
「今日はいっぱい楽しみましょうね!」
「ああ、といってもあまり遅くなると――」
「大丈夫ですよ! お母さんには伝えたので」
昨晩、美咲さんから電話がかかってきた。
娘を宜しくお願いします、と。
ただ最後に「キスはダメですよ」と冗談交じりに言われた時は、苦笑いで答えるしかなかったが。
「でも、まさか夢の国に連れて来てくれるとは思いませんでした! 嬉しいです!」
そう、プライベートお遊びに誘われたのは俺だが、夢の国にしようとは俺が提案した。
「最高の 思い出を作るならここしかないと思ってな」
「ふふふ、確かにそうかもしれませんね」
「それとここならキャラクターのぬいぐるみを被ったり眼鏡を掛けたり、人も多いからバレないだろうと思って」
「そんな現実感のある答えは求めてませんけど!」
「一番大事だよ」
そんなことをいいながら笑う合う。
年甲斐もなく心が躍っていた。
「あ、風花、これ」
「……え!?」
「いいんですか?」
「ああ、当たり前だろ」
「……ありがとうございます」
どこか寂しげな表情で、チケットを見つめる。
これが……最後になるかもしれないからな。
「さあて、まずはどこから行こうか」
「パンフレット取りましょ! あ、ネズミーちゃんがいる! 写真撮りたいです!」
「いいね。あ、でもまずは帽子を買いに行こう」
「はい!」
俺の服の袖を掴み、風花はいつもよりも自然な笑みを浮かべる。
ああ、今が一番幸せなのかもしれないな。
――――――――――――
*デートではありません。
*デートではありません。
*デートではありません。
次回も遊園地編です。宜しくお願いします(^^)/
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