フレイムハート
序章:癖
▽▽▽▽
短く震えた携帯端末に尻ポケットから取り出す。電源を入れればホーム画面に閃架からのメッセージが表示されていた。
《あとどのくらいで帰ってくる?》というメッセージに頬を緩める。俺のことを待っているようで可愛らしい。待っているのは俺が閃架に言われて買ってきたスイーツの事かもしれないが。
《あと10分くらい》と返して歩みを速める。
再度返って来た《早く帰ってきて》っていう言葉と可愛らしくハートを飛ばす、なんかもにゅもにゅとしたマスコットキャラのスタンプに次第に小走りとなっていた。
その勢いのまま玄関の扉を開ける。
「閃架ぁ―?ただいまぁ」
返ってこない返事に首を傾げながら、それでも弾んだ足取りで家の中を進む。取り敢えず、最後にソファでだらだらしているのを見たリビングの扉を開けた。
瞬間、目の前にだらんとぶら下がった足があった。
目に入った内容を脳が理解するよりも速く、ひゅっ、と喉から異音が鳴る。ギッと心臓が軋んだ。トサ、と紙製の箱が落ちる音が聞こえ、閃架に頼まれたスイーツが手から滑り落ちたのだと自覚した。
ゆるゆると視線を上げる。瞼を閉じ、生気の抜けた閃架の顔。
如月閃架の首吊り死体がそこにはあった。
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