第5話 面白くなってきた
死を悟った彼は、その場所が好きだったことを理解したらしい。
彼はその場所〈
そこで死に――そして、生まれ変わるのだという。
まるで不死鳥のようである。元の世界には戻れず、行く当てのない私は二つ返事で彼の旅へ同行することにした。
それは彼の願いを聞き入れることでもある。
そこはこれまでに5度の崩壊を迎えたそうだ。〈
しかし、今回は上手くは行かないだろう――と彼は考えているようだ。
〈
次はないという結論に彼は
だからこそ、私に――その世界を――救って欲しかったようだ。
〈天命の剣〉によって砕かれた私の魂には〈天命の
その魂を輝かせることが出来るのなら、世界を救済することも可能だという。
人の持つ願いや強い想い。
それが、それこそが、世界の運命を滅びから救えるのだと彼は信じているようだ。
◆◇◆◇◆
王都の生活に溶け込み、情報を集めてくれているハズだ。
もう一人、『
残念ながら、後で合流するそうだ。
(私が
海が近いので、まずは旬の魚介類を調べなくては!――と使命に燃えている中、
「
(
と私はウインクをした。
今は旅の商人。馬車で荷物を運んでいる途中である。
見た目が子供の私は、ちょこんと御者席で大人しくするだけだ。
兄妹で旅をしている。両親は野盗に
その時のショックが原因で妹は口が聞けなくなった。
今は
などと、いつもの彼からは想像できないくらい、
まあ、その説明なら、私の
案の定――それは可哀想に、頑張れよ――と応援される。
馬車の荷を簡単に確認した後、交通税を払い、通してもらった。
(必要なかったみたいね……)
無事に通れて良かったな――といった表情で
内心では『絶対に
失礼な息子である。門からは、だいぶ遠ざかったので、
「もう、出て来てもいいわよ」
と私が告げると――ぷはっ!――馬車に
取り
「箱じゃなくて、
と勝ち誇る私。それに対して、
「こっちはバレないか冷や冷やした」
「あ、ありがとうございます」
と少女はお礼を言った。まあ、少女といっても、見た目は私よりも年上だ。
銀色の髪に青の瞳。色白な肌で着ている物も、この時代ではいい代物だろう。
国同士の交流が盛んである『ステラニア王国』には様々な人種がいる。
褐色の肌の人種が多いため、彼女のような存在は珍しい。
言葉遣いや服装からも、ワケありのお嬢様であることが
森の中を野盗から逃げ回っていたので、
野盗を捕まえることが出来れば良かったのだが、相手は引き際を心得ていたようで、あっさりと逃げられてしまう。
彼としては私の護衛の方が優先事項なので、深追いはしなかったようだ。
「手慣れている。アレは野盗に見せ掛けた……」
そこまで言い掛けて、
恐らく、私が興味のある単語を口に出しそうになったのだろう。
まあ、女の子一人、捕まえられない連中が脅威になるとは思えない。
彼女も私たちのことを警戒しているようだ。
話してもらうためにも、まずは彼女から信頼を得る必要がある。
王都へ連れて行って頂ければ、お礼をします――ということなので『連れてきてみた』というのが今の状況だ。
こちらも正体を
まずは『
恐らくは、この国の裏で事件が起きているのだろう。
「面白くなってきたわね♪」
ワクワクした表情の私を見て、再び
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