2023/04/03 引っ越し

 彼女と子供とで住んでいるアパートが取り壊しになるので、引っ越しをしなくてはならない。

 というわけで近場のいい家はないかを探している。わんころにゃんころも一緒になので引っ越しまで割と大変だ。当然、彼女は家具運んだりもできないのでどれくらい自分がやって、どれくらい引っ越し業者に頼むのかとか。


 今すぐという話ではないけれど、少し億劫。動きたくないぜー。


 この暮らしも結構長く、始めた頃から変わったことがたくさんある。そもそも彼女は病院通いではなかったし、むしろ私の方が学生で彼女が働いていた。だいぶ昔のことのように思えてしまうが。


 あの頃と違うというと、生々しい話、お互いの性欲がある。いや、実のところ今はセックスをする仲ではないので言うほど生々しくない。

 元々の原因は主に自分で、それは付き合いたての頃の自分が、結婚するまではいたさない、という堅物であったことによる。堅物、というか自分が比較的クラシカルなクリスチャンであるせいだ。古めかしい清教徒ほどではない(でないと映画も小説も楽しまないだろう)が、この世の快楽を可能なら避けるべきの信仰を私は持っている。この辺りは宗派や信仰者ごとの考え方の違いがある。だからこれは私が割と厳格であろうとしてただけという話だ。

 それで、あの頃はまだお互いが今より結婚を視野に入れていたけれど、彼女もできることならセックスはしたいというところを私が拒んでいた。

 そして現在。今は他人に触れられるのも嫌だそうだ。風呂で彼女の髪の毛を洗ったり乾かしたりするのは私だし、先日も書いた通り彼女から私に噛んできたり触ってきたりというのはしょっちゅうなのだけれど、病気と薬のこともあって完全に性欲は減退しているという。基本、触られたくないと。自分の方からいくのはノーカン。

 対する私は、信仰は信仰で、性欲は普通にあるので歳を重ねてそれこそ性欲が減退することはあれ、活発になることはないと思うのだが、感覚としては若い頃よりもセックスをできることならしたい方に気持ちが寄っている。

 彼女に無理をさせた、悪いことをしたという意味でも、今自分が肉欲ムラムラしている意味でも二重に、若い自分、なんでそこまで堅物してたんだよ、などと思う。これも一種の拗らせである。


 この辺りの線引き、自分でもなかなか難しいところなので、こうやって文字にしてみるとなかなかにふわふわしている。あまりに中途半端だ。

 信条を貫くというのも難しい。だからこそ、世界では少なくない宗教徒が、わかりやすい線引きをして、他者を自分たちとは違う存在だと差別してしまうのだ。


 じゃあ次自分がムラムラした時に風俗行こうとかなったらどうするんよ、なんて聞くと「報告とレビューよろしく」とのことだった。なお、「風俗は良いけどキャバクラはやめてほしい」とのこと。恋愛感が出てしまうから。だから同じ嬢を続けて指名するとかもなし、と。

 なるほど、わかりやすい線引き。


 人は自分にしかわからない線引きをしている。

 他者と関わるというのは、その線引きを共有することでもあるのだろう。


 とは言え、今はそんな心の線引きよりも、線で囲まれた家という囲いから追い出されてしまう前にちゃんと引っ越し先を見つけないと

 

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