2023/04/02 グリッドマンユニバース

 グリッドマンユニバースを観た。

 平成初期の特撮、電光超人グリッドマンを原典としたアニメ『SSSS.GRIDMAN』と『SSSS.DYNAZENON』のクロスオーバー作品であり劇場版作品。


 先週がシン・仮面ライダーだったので、特撮原典モノ続きということになったわけだけど、これがめちゃくちゃ良かった。


 正にSSSSシリーズを観ていた人、またはグリッドマンを知っている人が望んだ全てを作品として出力している映画で、ヒーロー映画としてもなかなか隙がなく、テレビシリーズの劇場版ということを含めた上でグリッドマン初見の人が観ても楽しめる作品だったと思う。


 例によってネタバレをする気はないし、細かい感想はTwitterでもアホほど呟いているからここではしない。

 シン・仮面ライダーは普通の映画ではなく、普通の映画というのはつまり、多くの人が面白さを感じ、登場人物に共感して明日を生きる活力にする、という意味、という話をしたけれど、正に『グリッドマンユニバース』には明日を生きるための活力をもらった。


 また、ある種の創作者映画でもあったので、創作をすること、虚構を生み出すことに対しての勇気と元気をもらえた作品でもある。

 人間は事実だけではなく、虚構も愛して生きている、というのを何の恥ずかしげもなく肯定する映画で、少しのこそばゆさもありながらも、虚構と空想を愛する者として明日も元気に生きていこう、と思えた。


 私だけではない多くの人々が、ヒーローに憧れたことのある子供だった。

 そんな私たちはヒーローのようでありたいと願い、ヒーローのように優しく強くあろうとすることを願う。

 特撮作品にはそんな子供たちへの願いと継承がある。シン・仮面ライダーでも本郷猛から一文字隼人への正義の継承が描かれたし、そういう継承をどうして私は好きなんだろう、と考えた時、私もまたヒーローに正義を継承された子供だったからだと気付かされる。

 私は子供の頃から怪獣が大好きで、悪役も大好きだったけれど、それはどんなに正論を言っている悪役でも、どんなに嫌いな現実を壊す怪獣であっても、最後にはヒーローの理想に倒れる姿があるからこそなのだとも思う。

 SSSS.GRIDMANでは、怪獣が大好きで怪獣を自分でも作り出す少女アカネが登場するけれど、彼女も最後にはグリッドマンに救われた。


 現実には人を救ってくれる特撮やアニメのヒーローなんていない。だけど、彼らの正義の行いを見た私たちは少しでもヒーローに近づこうと、友達に優しくしたり、仕事や勉強に精を出したり、お年寄りに席譲ったり、ゴミ拾いをしようと思ったりするのだ。


 そういう衒いのない正義や道徳を、私はヒーローから教えられたんだよなあ、なんて至極真っ当なことを思い出させてくれて、童心に戻ってヒーロー(グリッドマン)を応援させてくれる良い映画だった。

 私は仲間たちと共に戦うグリッドマンを観てその格好良さに涙を流して泣いてしまった。

 正直、初めての経験かもしれない。そもそも私は作品を鑑賞して涙を流すなんて経験はあまりない。劇場で涙を流してしまった経験なんて、ダークナイトライジングとシン・ゴジラくらい、というのは色々なところでよく言っている。

 それにシン・ゴジラやダークナイトライジングのあれは「観たかった映像をドンピシャで与えてくれた感動」だったし。

 アベンジャーズエンドゲームを観て、ヒーローが勢揃いした時にじんと来た時の気持ちには近いかも。


 現実には興味がない。興味があるのはいつも虚構と空想の世界。


 そんなことを日記初日で書いたけれど、そんな虚構の世界に救われて、私は明日も現実を生きるのだ。


 スクリーンで友達を救うために助力を惜しまなかった、あのヒーローたちのようであるために。

 

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