07/02
映画「ミッドサマー」(2020)を観ました。
今さら、アマプラで。
普段は映画観ても、ちょろっとツイで感想を言う程度で、もともと映画はあんまり見てない素人同然の僕だけれども、この映画はもっと感想を書きたくなった。そんな次第である。
あ、ちなみにネタバレしまくって感想言うので、未視聴の人はごめんなさい。
*****
まず、映画そのものの評価を出すなら「わりと好き」という感じ。ドン刺さりしたわけでなく、かといってまったく何も感じなかったわけでもなかった。さらに言うなら、期待してた(苦手分野だけど)ホラー映画としては評価低め、映像芸術としての評価は高め……そんな感じ。
最初、見ていて思ったのが導入部分長くね? ということ。
ダニーの救われない境遇を表したいのはわかるけど、彼氏の取り巻きのクズさ加減とか別に導入部分じゃなくてもいいのでは……とか思ってしまった。あとダニーとクリスチャンが口論してるときに「私はあなたを責めてるんじゃなくて、ちゃんと話し合いたいだけなの!!」みたいなことを激昂しながら言っててイライラ度がクリスと同調してしまう。たぶん監督の思うつぼなんだろうけど、これはやられた。
あとカメラワークが面白いな、と思ったのは皆でドライブしながら目的地に向かってる最中の看板を追いかけながら、通り過ぎたらそのまま上下反転の映像のままドライブの映像が続いていく演出。見慣れない気持ち悪さと、ここから先は今まで見てきたものがひっくり返るというわかりやすい比喩で、こちらの意識をも強制的に変えてくる手法は面白かった。
小休憩を挟んでいる草原で、当たり前のように現地人が「みんなで意識を自然と一体化しよう!」みたいなこと言ってドラッグ渡してくるのも強烈なシーンだった。地味だけど、手の甲から草が生えてくる幻覚はなんだか少し嫌な感じだったかも。
スウェーデンの白夜で夏至祭の時期ってのもあって、映像も白が目立つ彩度高めな感じが特徴的だった。
中盤のクライマックスであるジジババの崖上からダイブのシーンとか、マークが鶏小屋で吊るされてるシーンとか、かなりグロいものがハッキリ映る。だけど、常にビビッドカラーなので不思議とグロさが緩和されてるのが、監督の恐ろしいところだと思う。
ドラッグで意識が飛んでるときの普段そうなるはずのないもの……飾られた草花とか盛り付けられた料理とかがグワングワンと脈動するようなCG加工されてるのも、面白いけど気持ち悪い。
それと、民族文化と土着宗教をテーマにしてるのも面白いし、なかなか攻めたものを題材にしてるなあ、と思った。YouTubeの解説動画もちらほら見てて、すごい着眼点だな、と感心したのが「この映画は独自の文化や宗教だからと、異文化圏の我々がなるべく理解して歩み寄ろうとする気持ちを、どこまで常識と乖離させれば本能的に拒否反応が出てくるか、という悪趣味な監督と視聴者とのバトルである」みたいなこと言ってたときだ。
確かに僕も、老人が輪廻の輪に還るためにダイブするのは宗教理念として嫌々ながら受け入れられたけど、求愛行動として陰毛食べさせるとか経血ジュースとかはウゲーッてなってしまった。極めつけは衆人環視の中で性の儀式を行うシーン。アレはキツいっす。相当、ドラッグでぶっ飛んでないと理性と倫理観が邪魔をして、何もできないでしょって思ってしまった。
総評としては、僕の好きな結末であるメリーバッドエンド風味な感じが好きだった。すっきりしない後味の悪い、色んな考え方のできるオチが良かった。あの祝祭の後、村に依存先を見出して取り込まれたダニーは好意をあからさまに寄せていたペレと、どうなってしまうのか気になるところではある。
やっぱりあの教会で衆人環視の中……? うわあ、キツすぎでしょ……!!
おわり。
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