第8話 銀髪の美青年

 自分の体に全く痛みを感じていない私は、同じ状況だったヒカリに尋ねてみた。


「ねえ、ヒカリ。私は、体を少しもケガをしていないみたいなんだけど……ヒカリの体の方は大丈夫なの?」


 すると、ヒカリは小さくうなずいて答えてくれた。


「うん。痛いところは全然無いよ…………」

「良かった……良かった……ヒカリ……」


 私は、思わずヒカリの体を再び抱きしめてしまった。


「ああ……ありがとう……シズク……とても嬉しい……」


 私たちに対して恋愛感情を持っているヒカリは、私の態度に喜んで抱きしめ返してきた。

 しかし、彼女が喜ぶ時間は一瞬で終わってしまった。


「えええ~っ!? じょ、女性同士で、いったいどうしたの!?」


 この部屋の入口のドアの方から、若い男の声が響いたからだ。

 私とヒカリの2人が、揃って叫び声が放たれた方向を見ると、銀髪で青いスーツに身を包んだ美男子が立っていた。彼の両眼についても美しいブルーなので、おそらく外国人だと思われる。

 正直な話、私は彼の姿に一目惚れしそうになったのだが、ヒカリと抱きしめ合っている状況なので「コホン」と小さく咳払いをして、冷静さを取り戻しながらも彼に質問した。


「あなたは……もしかして、私たちの命を救ってくださった方なのですか?」


 すると、彼も少し緊張しているようで、私と同じように咳払いをした後で答えてくれた。


「そうだよ。君たち2人が道の上で倒れていたので、僕が住んでいるこの家へ連れてきたんだよ」


 そ、そんな…………私とヒカリが落下していった先には、道など無かったはずなのに…………!

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