第6話 落下する2人
「きゃあああーっ!」
ヒカリの大きな悲鳴が響き渡った。何故なら、地震の揺れによって、ヒカリの体が崖の方へ放り出されていたからだ。
「ヒカリーっ!」
私は、彼女の名前を叫びながら地震の揺れに対して構わずに階段を走って上がり、ヒカリの腕を掴むために全力を出して右腕を素早く最大限に伸ばした。
ヒカリの方も、腕を伸ばす私を見つけて飛ばされながらも腕を伸ばした。しかし、その努力は報われずヒカリの体は完全に宙へ浮いてしまっていた。このままでは、確実に崖の下へ落ちてしまう!
私は、親友を助けるために迷わずに決断した。立っていた崖の端から思いっきりジャンプをして、ヒカリの体を捕えようと両腕を伸ばしたのだ。ヒカリは、私と違って運動神経が鈍くて体力も無い上に病弱だった。仮に、私の腕や足が1本くらい折れようとも努力をすればどうにか耐えられるが、ヒカリがそのような体験を味わってしまうと精神的にも体力的にも立ち直ることができなくなってしまう…………狙いはただ1つ。ヒカリの体を捕えて彼女の下に私の体を潜り込ませて私自身がクッションの役割を果たすことだ。
しかし、私が伸ばした右腕が掴むことができた個所は、ヒカリの細い足首だった。彼女は、既に頭から真っ逆さまに落下し始めていたからだ。私は、絶望してしまった。
それでも、私は必死にヒカリの足を掴み続けてその状況に耐えた。しかし、落下していく先に存在しているはずの大地が真っ赤に光っていることに気がついた…………どうして!?
その赤く輝く光が、地震で発生した火事なのか、大地の底に眠っているマグマなのか全然わからなかった。そして、悔しいことに私はそのまま気を失ってしまった。
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