第5話 突然の地震
「ありがとう……シズク……」
私とヒカリの口づけが終わり、私は彼女の抱擁を止めてゆっくりと自分の体を離していった。ヒカリは、私とキスできたことがとても嬉しかったらしく、何度も「ありがとう」の言葉を繰り返した。私は、ヒカリの感謝に頷きながらも、1つの提案をした。
「ヒカリ……今は、あなたの愛を受け入れたけれども、その気持ちをずっと受け入れ続けるつもりは無いわ。あなたを守ってくれる素敵な男性が現れたら、その人へあなたの愛を伝えていくのよ……わかったわね?」
「そんなことは、無いと思うけれども……わかったわ」
ヒカリは、そう言って頷いてくれた。とりあえず、これでいいわ。
「さあ! 大学に入るために、家に帰って頑張るわよ!」
「うん、私も頑張るよ! シズクと同じ大学へ行くために!」
私とヒカリは、お互いに握り拳を軽くぶつけ合って、そのまま瀬戸山を下り始めて行った。私とヒカリがキスをしている時間が長かったためなのか、私たちの周囲に人の気配は感じられなかった。
そして、転ばないように2人で坂と階段を下り続けて半分ほど進んだ時に、またしても胸が高鳴るようなことが起こった。
「うあっ! じ、地面が揺れている! じ、地震だわ!」
私は、思わず大声で叫んでいた。階段を下っている今の状況では、手すりに掴まって自分の体が落下することを絶対に防止しなければならない。
しかし、私の後ろを歩いていたヒカリの姿を見ようとして振り返った今、さらに驚くべき事態が発生していた。
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