第2話 シズクとヒカリ
5日前のあの日……私とヒカリの2人は、日が暮れた後に瀬戸山へ登って打ち上げ花火を見に行った。
ロングヘアーの私に対して、ヒカリはショートカットだった。
私たちは、通っている高校の帰りに同じ学習塾に行っていたので、その塾での講習が終わった後に向かっていた。
だから、私たちの服装はセーラー服のままだった。
私の名前は、水野雫でシズクと呼ばれていた。そして、彼女の名前は美空光里でヒカリと呼ばれていた。ただ、あの有名な歌手だった美空ひばりと間違えられたり、あだ名としてそのように呼ばれていた事もあった。
私と同じくらいの良い成績を取り続けているヒカリだけれども、気が強めの私に対して……ヒカリの方はとても気が弱くて小学生や中学生の時はいじめられている事が多かった。
私とヒカリはお互いに近所に住んでいて、幼なじみで仲が良かったものだから、私はヒカリがイジメにあっていると気が付いた時には黙っていられなかった。
パアーン!
ヒカリをいじめていた男子を、思いっきりビンタしてやったことが何回もある。そのため、怒った男子と取っ組み合いのケンカをしたこともあるくらいだ。
「1人のか弱い女の子に対して、男3人でいじめるなんて卑怯なのよ! この人でなし!」
私は、ヒカリを助けるために相手が男だろうと女だろうと関係なく怒鳴りつけた。心の底から許せなかった。
「あ、ありがとう、シズク……ご、ごめんなさい…………」
ヒカリは、声を震わせて涙を流しながら、感謝の言葉を言ってくれた。
「何を言っているのよ。あなたが謝る必要なんて、無いでしょ? 当然のことをしただけなんだから」
私は、そう言ってヒカリの頭をヨシヨシと優しく撫でてあげた。
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