第110話 エアリスの怒り

「お、おい、ベルファ……」


 さすがにこの反応はマズイと思ったオレは、ベルファを止めようとしたのだが、彼女は続けて言い放った。


「あんた、まさか今まで自分の力だけで戦い抜いてきたとでも考えているの!? あまりにもバカげた考え方だわ! ナリユキの支えがあったからこそ、あんたは今までやって来られたのに!? 思いあがっているんじゃないわよ!」


 ……あ、あれっ!? 今のセリフ……オレって意外と高く評価されているのか? いや、しかし……。


「なあ、ちょっと待てベルファ! これ以上、エアリスを刺激するような発言を止めてくれ……」

「ナリユキ! あんたは黙れッ! このボケナス!」


 ベルファを止めようとしたのだが、すかさず彼女にこき下ろされてしまった……おおおおう……持ち上げられた直後に落とされるのは、精神的にとてもキツイぜ……!

 しかし、そのセリフで落ち込んでいる場合ではなかった。


「ベルファ! キミは、ボクのことを真の勇者として認めてくれたハズだったじゃないか! かつて西の塔を攻略しようとしていた時に!」


 エアリスがベルファに反論したのだが……。


「あれは、あんたを上手くおだてて利用しようとしただけよ! 別にあんたを勇者だなんて、これっぽちも思っていないから!」


 うっわ~……ベルファのヤツ、自分の発言を完全否定しちゃったよ……ちょっとひどくないか? いくら何でも…………。


「よ、よくも、よくもボクをだましたな! だましてくれたなあああっ!」


 その言葉を聞いたエアリスは、逆上してベルファを…………!


 ガツン!!


 鈍い衝撃音が、公園内に響いた。

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