第109話 エアリスの決意
「そ、そんな……! エアリス、本気なの!?」
エアリスの驚愕の発言に対して、思わずユリカは問い返した。
「悪いけど、ボクはもう決めたんだ。このパーティーに入っている限り、ボクは勇者になることはできない。ボク自身の夢は絶対に叶えられない。だから、今すぐ辞めるんだ!」
エアリスは、その両手に握りこぶしを作って力強く言った。やはり、決意は固いようだ。その言葉を前にして、ユリカはオロオロしている。
オレは、返す言葉に詰まっていた。彼女の気持ちも理解できる。目立たない日陰者である忍者のパーティーの中にいては、永遠に勇者になることなどできないと考えるのも当然のことだ。
4人の間でしばらく沈黙が続いていた……が、その沈黙を打ち破った者はやはりこの女だった。
「ふーん。それで? あんたは、このチームを抜けた後にいったいどうするつもりなのよ?」
チームを抜けようとするエアリスを引き留めるどころか、むしろ突き放すかのような口調でベルファが尋ねた。
「そんなことは決まっているじゃないか! ボクは、他の『竹ランク』の冒険者たちと新しいパーティーを作るんだ! ボクが中心となって機能する。ボクが勇者になるためのパーティーを作って、まずは『松ランク』へ昇格してみせるよ!」
エアリスは、力強く答えてきた。ダメだ……そこまで考えているのであれば、もうオレにも止めることはできない。オレは、その場でガックリとうなだれた。
しかし、その返答に対してベルファは驚くべき発言をした。
「あははははっ! まったく、笑わせてくれるわね! あんたごときに、本当にそんなことができると本気で思っているの!?」
ベルファは、そんなエアリスをあざけるように笑い飛ばしたのだった。
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