第101話 エアリスとユリカの帰還

 なんてことだ……。

 怪盗ダナシャスは、変身魔法を使ってオレに姿を変えたのだ。


「ふはははは! すばらしい! 噂には聞いていたが、並外れた身の軽さと、頑丈なボディーだ! 実にすばらしい!」


 ダナシャスは、その場で軽くピョンピョンとジャンプしながら狂喜していた。姿も声も、オレと全く同じで不快感が極まった。


「君の刀だけはコピーできなかったが、私には魔法がある。それで十分だ……」


 危ない危ない。下手したら、名刀『鉄子』までコピーされていたかもしれない……オレは冷や汗をかいた。

 そこへ、大広間のドアがバンッと開いて、エアリスが現れた。

 その隣には、寝ぼけ眼をこすっている本物のユリカもいた。


「ナリユキ! 本物のユリカを見つけたから、起こして連れて来た……ええっ!?」


 エアリスは、その場で固まってしまった。そりゃそうだ。オレが2人もいるのだから。


「そ、そんな……私は、まだ夢を見ているの!?」


 ユリカも、びっくりしている。これで完全に目が覚めただろう。


「なるほど……あの奥にいる者が、ダナシャスが化けたナリユキって訳か……!」


 さすが、エアリスの方は察しが良い。隣にベルファがいるオレの方が本物だと、すぐに見抜いた。


「よし! 本物のナリユキ! 『フォーメーションA』で攻めるよ! ベルファは扉の前まで下がって、魔法で援護して!」

「おう!」


 エアリスが指示し、オレとベルファは勢いよく返事した。

 これで役者は揃った! 全力で行くぞ!

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