第87話 数々の醜聞
「あ、あの……ナリユキさんって、ロリコンなんですか?」
ライムがいきなり、オレに向かってそう尋ねた……ええっ!?
「な、何を言ってるんだ!? オ、オレはロリコンなんかじゃないぞ!? 絶対に違うぞ!」
オレは大慌てで全否定した! 冗談じゃないッ!
「で、でも……黒い忍び装束を着込んだ人が、街の至るところで10歳前後の女の子を次々とナンパしていたって聞いたんです。忍び装束を着た人って、忍者のナリユキさんしか考えられないじゃないですか……忍者はナリユキさんしかいませんし……」
困り顔で話し続けるライム。チクショー、誰かがオレに成りすまして、幼女をナンパしやがったな!?
「何よそれ!? 一歩間違えれば、誘拐じゃないの! あんた、そんな趣味があったワケ!?」
「だから、本当に違うって! オレは、幼女に興味は無いから!」
ジト目で睨むベルファに対して、オレは両腕をブンブン振りながら全否定を続けた。なんとか信用してもらえたけど……。
「それから、エアリスさん。あなたは、街角で立ったままオシッコをしていたという目撃情報があります」
「ええっ!? ボ、ボクはそんな恥ずかしいコトしないよ!」
ライムの話は、さらにエアリスへ飛び火した。もちろん、エアリスは必死で否定する。彼女はカッコつけ屋さんだから、オシッコしたとかオナラしたとかいう下ネタのワードには過敏に反応するのだ。
「ダメだよ~エアリス。トイレへ行きたかったら、ちゃんと我慢しないと~」
「な、何かのマチガイだよッ! ユリカまで、何てコトを言うんだよ!」
ニヤけるユリカに、顔を真っ赤にして怒るエアリス。この子は、恥ずかしがると結構かわいいんだよなあ……オレも思わずニヤニヤしてしまった。
「あと、ベルファさんは毎日カジノでお酒を飲んだくれて、ディーラーや他のお客さんに絡んでいるって聞きましたけど?」
ライムの話は、まだ続く……あっ、これは半分本当の話だ。
「ちょっと待ってよ! あたし、カジノもお酒も好きだけど、毎日なんか行かないし、他人に絡んだりしないわよ!」
たしかにオレも一回だけ彼女のパシリとしてカジノへ行ったことがあったけど、特に絡んではいなかったな……たまたま勝っていたからかもしれないけど。もし負けていたら……ちょっと怪しい。
「ぷーくすくす! みんな、普段の行いが悪いから、そんな変な噂が立つのね~♪」
ユリカが口を押えて笑い出した。コイツ、他人事だと思って……!
しかし、彼女も例外ではなかった。ライムは、ユリカに視線を向けて話す。
「最後にユリカさん。あなたは、本屋でBL小説を立ち読みしながらヨダレを垂らして本を何冊も汚されたって苦情がありましたよ?」
「あっ! それは本当のコトなのね! 前に、店長さんからお店を追い出されちゃったコトがあるの~」
「お前の場合は、完全に黒かYO! いい加減にしろYO!」
思わず、ラップ調でツッコんじゃったYO!
「も、もういいわライム。クエストの話をしてちょうだい」
ベルファが額に指を当てながら言った。おそらく、頭痛がしてきたのだろう。オレも頭が痛い。まるで悪夢だ。
「えっと、それではクエストの話をしますね」
ライムはコホンと咳払いをして、クエストの依頼書を机の引き出しから引っ張り出した。彼女は仕事ができるから、切り替えも早くて助かる。
「今回のクエストは、怪盗を捕まえることです」
「ええっ!? 怪盗を!?」
オレたち4人はびっくり。いったい、どんな相手なんだ!?
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