第86話 ポンコツシスターズ
オレたち4人は、王城を出るとそのまま冒険者ギルドへ直行した……と言っても、オレたちのアジトは冒険者ギルドの隣にあるので、ほとんど家に帰る感覚なのだ。
そして、久しぶりに冒険者ギルドのドアを開けて中に入る。
しかし、室内に入ってから、オレは妙な違和感を感じた。周囲にいる冒険者たちの様子が、何かおかしい。オレたちを見下すような目で見て、小声で話し始めた。
「おいおい、忍者ナリユキとポンコツシスターズのお出ましだぜ?」
「西の塔の攻略に失敗した後は、鳴かず飛ばずらしいわよ?」
よく聞くと、オレたちの悪口だった。
「ちょっと! ポンコツって何よ! バカにして! ぷんぷん!」
ユリカが両腕を振り上げて、怒りのポーズを取る。いや、お前が3人の中で一番ポンコツなんだけど? 自覚は無いの?
「何コソコソ言ってんのよ! 文句があるなら、かかって来なさいよ!」
短気なベルファもキレて、目の前の椅子を蹴り上げようとしたのだが、彼女の隣にいたエアリスが慌ててそれを止めた。危ない危ない。
しかし……デマの影響が、ここまでハッキリ現れてくるとは……オレは内心、少し恐怖を感じていた。とは言え、今はそのことを気にしている場合ではない。まずは受付窓口へ行って、クエストの内容を確認しなければ。
そして、窓口では青髪ツインテールの女の子が事務作業をしていた。受付嬢のライム……彼女の顔を見るのも久しぶりだ。
「久しぶりだな、ライム。元気にしてたか? オレたちがどんな内容のクエストを受けたらいいか、教えてもらいに来たよ」
「え、ええ……エルディア姫の遣いの方が先ほどいらして、お話はうかがっています……」
オレはできるだけ自然な感じで彼女に話しかけたのだが、やはり彼女の様子が変だ。少し震えている。
「ちょっと、あんた! さっきからあたしたちを見て、どうして怯えているのよ!? 仕事する気あんの!?」
ライムの様子を見て不審に思ったベルファが、ここで切り込んで来た。歯に衣を着せずにズバズバと物を言うタイプだからなあ。
「あ、あの……最近のみなさんの噂を聞いて、ちょっと怖くて……す、すみません……」
ライムは右手の握りこぶしを口元に当てながら、申し訳なさそうに答えた。そして、オレたちはどんなデマを流されたのか、彼女の口から聞かされることになる。
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