第30話 これが秘密兵器!?

 その後も呪いの騎士は5,6体ほど現れたが、どれも単体でバラバラだったので、難なく倒していった。


 そして、オレたちはようやく塔の最上階へたどり着いた。


「うわあ……綺麗な眺めなの~♪」


 ユリカが目を輝かせて外を見た。最上階には、一部だけだが壁が全く無い部分があったのだ。塔の中央には、巨大な柱が一本あるのみ。もしヘリコプターが存在していたら、最上階をまるまるヘリポートとして使えそうだ。


「おい!」


 確かにユリカの言う通り、良い景色だ……遠くに王都ザリザクと王城が見える。いつか、姫様をデートに誘ってここに連れて来たいなあ。ここで告白すれば……ぐへへへ……。


「おい、こらっ!」


 相次ぐ怒鳴り声で、現実に引き戻された。あーあ……。

 最上階の中央の柱には巨大な箱があり、その隣で呪いの騎士が叫んでいた。今までとは違って真っ赤な鎧だ。おそらくリーダーなのだろう。


「我こそは、この塔の最高責任者、レジックなり! 貴様にみすみすコレは…………えっ!?」


 最後まで話を聞くつもりは無い。オレは既にレジックの体を持ち上げていた。


「ちょ、ちょっとタンマ! まだ我のセリフがああぁぁぁ~!」


 そんな事は、どうでもいい。そのまま担いで、塔の下へとブン投げる。


「ひっ、卑怯者めぇぇぇ~っ!」


 魔物に卑怯者とか言われたくない。よし、これで片付いた。

 秘密兵器とやらを確認しよう……しかし、この箱は相当デカいな。3メートルくらいありそうだ。

 蓋を開けてみると、まず目についたのは巨大な石像だった。腕を振り上げた姿に作られていて、逆手持ちで巨大な剣が握られていた。剣だけは石造りではなく、本物だった。いくつか宝石が埋め込まれており、とても高価な代物に見えた。これは、伝説の魔剣か? それとも勇者の名剣か?


「ああああーっ!」


 その時、聞き覚えのある声が響いた。この声は――――

 振り返ると、オレたちが上がってきた階段から女騎士のエアリスが現れていた。


「その秘密兵器は、ボクたちの物だ! 渡してもらうよ!」


 な、なに……? 今コイツ、ボク『たち』って言った……?


 イヤな予感がした。


「途中から魔物が出て来なくなったと思っていたら、あんたがやったのね。好都合だわ。ここなら遠慮なく、あんたを殺せるからね」


 エアリスの後ろに、ゆっくりとした足取りでウィザードのベルファが現れた。コイツら、既に手を組んでいたのか! 最悪の展開だ!

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