第9話 ゴブリンとの戦い(2)

 さらに先へ進むと……いるわいるわ。

 街の中を、ゴブリンが10匹くらい暴れ回っている。そして、ゴブリンから逃げ惑う人たち。街を守る衛兵も、まだ2人しか来ていない……これは、さすがにヤバい状況だ。


「今、助けるぞ!」


 オレは叫びながら更に加速して、一番近くにいたゴブリンを殴りつける。

 殴られたゴブリンは、軽く吹っ飛んであっさり沈黙した。我ながら凄い威力だ。


「ギイイイィィーッ!」


 その事態に気付いた他のゴブリンたちが、敵意をむき出しにして一斉に襲い掛かって来た!

 しかし、スピードとパワーで完全に上回っているオレの敵ではなかった。向かって来た最初のゴブリンの攻撃をかわして、無防備になったところに手刀を叩き込んで倒す。その勢いで、次のゴブリンに回し蹴りを食らわせて吹っ飛ばす。さらに、次のゴブリンを抱えて、その後ろにいた別のゴブリン目がけて投げ飛ばす!


「うおおおおおおお!」


 次から次へと襲い掛かってくるゴブリンどもを、無我夢中で倒す、倒す、倒す、倒していく!


「はあ、はあ、はあッ……」


 気がついた時、10匹ほどいたゴブリンは全て倒れていた。

 これだけ体を動かしたのは久しぶりだ……息も乱れている。


「すげえ! たった1人であれだけの数のゴブリンを……!」

「何者だ!? あの少年は!?」


 街の人たちや衛兵の間に、どよめきが起こる。そりゃそうだ。自分でも信じられんわ……。


「やるじゃん! 素手でここまでやるなんて!」


 突然、後ろから声をかけられる。振り返ると、さっき城の入口で出会ったエアリスが立っていた。あの後、追いかけてきたのだろう。


「ま、まあ、このくらいは余裕だったぜ!」


 思いっきり強がってみせる。これで、オレの株が爆上がりになると直感したからだ。しかし、エアリスは衝撃の事実をオレに告げた。


「気が早いな。まだ戦いは終わってないよ。ゴブリンは、全部で100匹以上いるんだからね」

「えええーっ!? そんなにいるのかよ!?」




 オ、オレの考えは甘かった……頭がクラッとした。

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