第7話 お姫様に会える?

 落ち着いて、女神フェリオの話を思い出す。たしか、弱いモンスターであれば一撃で倒せると言っていた……はず……。


 重力が弱いという状況は、さっきジャンプして証明した通りだが……。


 迷っているオレに、ユリカが畳みかける。


「ゴブリンを退治してくれたら、特別にお城でお姫様を紹介してあげるよ~? 私とお姫様、とっても仲良しだからね」


 な ん で す と ?


 思わず、両手でユリカの両肩をガッシとつかむ。


「本当か!? 姫様って、歳いくつだ? デートくらいはできるのか!?」

「私より1つ年上だから、20歳だと思うよ~。ここで活躍できれば、デートのチャンスありありだよ~」

「顔がブスだったりしないだろうな!?」

「この国で一番の美人じゃないかな~? 少なくとも、私よりは美人だよ~。とっても優しいし~」


 20歳で美人で性格も優しいとか、最高じゃないか! オレより年上と言っても3つくらいなら、全く障害にならないだろう。

 それでも、オレは念を押す。


「ウソだったりしないだろうな?」

「ホントだよ~。もし、ウソだったら、代わりに私がナリユキ君とピーとかプ―とかしてあげるよ~」


 ピーとかプ―って何だ!? 放送禁止用語かッ!?

 しかし、心は決まった! 姫様にいいところを見せてやる!


「ユリカ、このリュックを持っていろ! ゴブリンを倒してくる! 西の門の方角は、どっちだ?」

「こっちだよ~。がんばってね~♪」


 オレは、ユリカが指を差した方向へ向かって走り出した。手を振るユリカ。エアリスと残りの衛兵は、ポカンと口を開けたまま、オレたちのやりとりを眺めていた。

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