第3話 女神の神殿(3)
女神フェリオとの話が済んで落ち着いたところで、
「ちょうど良かったわ。ナリユキ君の服やリュックが乾いたようね。持って来させるわ。おーい、エドモンドく~ん!」
女神が叫ぶと、奥の部屋から修道衣を身に着けた男が、オレの衣服とリュックを運んで来てくれた。
おお、すっかり乾いている。ありがたい。
早速、オレは衣服を着こんでパーカーを羽織った。そして、キャンプ道具の入っていたリュックを背負う。
あ、もう一つ聞いておかなければならない事があった。
「ところで、女神様? オレは日本語しか喋れないけど、異世界の言葉って、話せるようになるの?」
ちなみに、英語は授業で習ってはいるけど、とても話せるなんてレベルじゃあない。ぶっちゃけオレは、面倒くさがりだし、落ちこぼれなのだ。
「それは心配いりません。あなたの脳には、既にリーデシア語をインプットしてあります。大陸のほとんどの地域で通じる言葉だから、支障は無いはずです」
さすが、神様だけあって手回しが良い。これなら、異世界でも快適な生活が送れそうだ。
「では、この床に書いてある魔法陣の中央に立ちなさい。私が、リーデシアの王都ザナトスへ転移させてあげます。転移先では、私の信者が出迎えてくれますよ」
今のオレは、異世界での希望あふれる生活に胸がときめいていた。
女神を救うヒーローとなり、多くの女性たちからはモテモテ。数々の武勲を立てたおかげで、財産を築いて豪邸でぜいたく三昧の日々を過ごす。そんな夢想を抱いていた。
だから、そんな夢想が如何に甘かったかを思い知らされる羽目になろうとは……この時はまだ、知るよしも無かった。
やがて、足元の魔法陣が金色に輝き、女神はオレの目の前から消えたのだった。
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