Revenge Fox Ⅷ
いつのまにか俺は
自分が立っているのは天空に浮かぶ白熱の太陽が何もかもを焼き焦がす砂漠。
見渡せばうねるような砂丘が視界の果てまで続いている。
そんな場所でふと目線を落とすとその足許に白狐が座り、赤い瞳をこちらに向けていた。
「やろうぜ復讐、なあ」
その馴れ馴れしい物言いに無性に腹が立った。
他人事だと思って気安く提案してんじゃねえよ。
もう俺のことなんか放っておいてくれ。
そう言い返してやろうと開いたその口から何故か別のセリフが突いて出た。
「そうだな、やってみるか」
俺は落とした言葉が信じられず、思わず片手で口を塞ぎ、次いで言い改めようと狐に視線を向けた。けれどそこでまたしても意図しない悪態がこぼれ落ちる。
「あのクソ女、ぜってえ許さねえ」
「カハハッ、その意気だぜ」
狐が嬉しそうに嗤う声でフッと肩の力が抜けた。
突然、正面から強烈な熱風が吹き付けてきた。
辺りの砂が盛大に舞い上がり、俺たちを包み込む。
いきなり視界がゼロになった。空気を切り裂くような音だけが鼓膜を支配している。砂粒が皮膚に当たり細かくて激しい痛みが止めどなく襲う。けれど俺は目蓋を見開き、大きな口を開け、その砂嵐に挑むほどの大声で叫んだ。
「いいぜッ、やってやる、復讐! あの女に吠え面を掻かせてやるッ!」
するとその声の残響も消え掠れないうちに俺はまた別の夢に転移していた。
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