第2話

いつもの生活が変わったのは天馬が中学2年生の秋だった。

秋人は日本陸軍の中将、戦争が起これば現場に出て軍の指揮をとる事もある。

「天馬、アメリカ軍が北海道に攻めて来た。わし指揮下しきかの軍が北海道に防衛の任務に就く事になっている。儂は北海道に行ってくるからしばらく会えんが元気での。」

「分かりました。無事軍務を終えて戻られるのをお待ちしています。」

これが秋人との最後の会話になる事を天馬は知らなかった。


「黒嶋中将、お待ちしておりました。」

北海道の札幌市にある日本軍北海道支部に着いた秋人は支部の責任者と話していた。

「状況はどうなんだ?」

「かなり悪いですね。すぐ増援をお願いする事になるかと思われます。」

「分かった。とりあえず戦地にて細かい状況を確認したい」

「分かりました。今日中に出発出来るように準備いたします」

(今回はアメリカか、何年か前の戦争は中国だったな。南へ行ったり北に行ったり、忙しいの・・・儂も若くないんだから後方でゆっくりしたいんじゃけどな、中々難しいかの)


その頃天馬は中学校で珠々と昼食を食べていた。

「お爺様大丈夫かな、俺らが生まれる前までは戦争の最前線で活躍していたらしいけど歳を考えると戦闘はキツいじゃないのかな?」

天馬は初めて身内が戦争に出ている状態を経験していた。

「天馬様、お当主様なら大丈夫ではないでしょうか?日本の中でも強さの順位は上から数えた方が早いくらいに強い方ですよ。」

「まぁ、俺もまだ勝てた事は無いけど。でも心配だよなー。」

天馬は珠々に初めて弱音を吐いた。

「珍しいですね。天馬様がその様な事をおっしゃるなんて。天馬様は黒嶋家のお当主様がとても大切なのですね。」

珠々は天馬に微笑んだ。

「俺は家族や仕えてくれる者達の事は大切に思っているよ?そうは見えなかった?」

天馬は珠々を揶揄からかうつもりでそう言った。

しかし

「天馬様はあまり感情表現が得意では無い様子、もっと感情を見せてくれて良いのでは?」

珠々が天馬を初めて揶揄からかったのだ。

「なに、それを含めて俺という事だ。」

(まさか、珠々が距離を縮めて来るとは思わんかったぞ・・・)

天馬は内心慌てながらも何とか言葉を返した。

「珠々は黒嶋家の事、いや黒嶋家当主を信頼してくれているのだな。俺も少しは落ち着かないと駄目だな。」

「いえ、ご家族の事ですから心配になるのは仕方ない事だと理解しております。」


天馬はこの日家に帰ってからまた慌てる事になる。

「天馬、落ち着いて聞いてね。北海道から軍を通して連絡があったの。」

皐月が天馬を自室に呼び、初めに言った事がそれだった。



あとがき

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