盗賊の襲撃編

第7話 盗賊の襲撃

 ウーに僕の理想を話したその次の朝には僕らは都市から姿を消した。進むべき道が見えたので、いつまでもここにいる理由はなかったからだ。まずは同じ理想を持つ仲間をもっと集める必要がある。さすがに僕が異世界からの転生者とは言え、まだまだ理想達成のための戦力が足りているとは言えない。


「しかし、どこに行く」


「そうですね、とりあえず町から離れるという事しか決めてなかったですからね」


 一応チマとポタを故郷に帰すという目標があるので、馬車は獣人の国との国境の方角へと走っている。しかし神様からもらった地図でも見えないほど、遠い位置にある。やはりウーの言っていた通り、最低でも一回は補給の必要がありそうだ。


「ご主人様、この先は森がありますがどうしますか」


 ウーの指摘通り僕らの目の前には大量の木々が立ちはだかっている。しかしここを通る以外は山を越えるしかこの先へ進む方法が記されていない。チートによる補助があるとはいえ、この馬車で山を越えられるか怪しい。仕方なく僕は森の方へと馬車を走らせた。


 正直スピードに任せて一気に突破してしまいたいが、舗装されていない道のため馬も進む場所を慎重に吟味しながら走っている、なので僕らは揺れる馬車につかまりながら早く抜けろと祈っていた。


 だが僕らの思惑とは裏腹に木々の隙間からふらふらと人が飛び出してきた。とっさのことだが神様からもらった身体強化のおかげで何とか反応し馬車のブレーキをかけた。そんな僕らの前で飛び出した人はその場に倒れた。思わず馬車を降り駆け寄る。


「大丈夫ですか」


 そう声をかけた瞬間、倒れた人はいきなり懐からナイフを取り出し僕の首元に突き付けた。その瞬間すべてを察した。この人は悪人の、それも盗賊の類であると、そして一人ではない。こういう輩は一人がオトリとして馬車を停め、そしてそこを複数人で囲む。まさにラノベで読んだ罠に見事に引っかかってしまった。


 恐る恐る後ろを見るとウーも同様に首元にナイフを突きつけられていた。申し訳ありませんと口パクで言った彼女に向かって僕は抵抗するなと視線で訴える。その瞬間僕は変な香りを嗅がされ意識を失った。

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