03.25|蟹
お風呂を待っている。よくわからないが、蟹が食べたくなっている。はずなのだが、これはふとした思い付きとしての「あ、カニ食べたい」なので、実際、ほんとうに現在のわたしが蟹を食べたいと思っているかどうかはまた別な気がする。
蟹が食べたいという気持ちが突然におのれの中から湧いて出るのはなにか意味があるのだろうか。たとえば、なにか自分の身体が足りない栄養を欲しているとか、「おまえはそろそろ蟹を食わないと精神があれになるぜ」みたく危険信号を知らせるものととして「蟹くいたい」が発生しているとか。そんな事柄をぼんやりと考えるものの、これらは心底どうでもよいし、そも、「考える」の文言を使っているわりに現在のわたしは無思考だ。それにいまはどちらかというと、蟹よりもなにか別のものを食べたいと感じている気がする。
ではいったい、さっきふと湧いて出てきた「蟹食いたい」はなんだったのか。それはわたしの永遠の謎、でもなんでもなく、どこまでもわたしの脳みそがてきとうな思考をうんぬんしているだけであって、たいした意味のない文言の羅列が頭の中を右から左へわーっとF1のばかやべえエンジンのお車がごとくふぉおおおおんと通り過ぎてしまったがゆえのバグのようなものと思う。
真面目に考えたところでなんにも生じるものがない思い付きとしての「カニ食べたい」でしかない「カニ食べたい」は、一瞬、わたしの中で湧いて出た挙句に、こうしてしつこく、意味もなく、よくわからない言及をされて、雑に放り捨てられるのだった。という風にしてなにかひとつ、物語のような雰囲気を醸し出してみたところでなにか自己陶酔的なものを感じ始め、かつまたそうして「自己陶酔」などという文言を使用する事柄自体が自己陶酔的でありかつこうした自己の言動に対する再言及という行為そのものがまたそうしたものであり、そして、そして、またまたそしてとこれは延々に繰り返される。
という風にして雑に文言を勝手に終わらせていったのが今回の日記である。日記でもなんでもないものを日記と言い張るのもまたありなのだろうか。
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