第246話
◆
今日はビジネスでお世話になっている先輩から呼び出されて、土曜日ということもあって午前中に約束をして先輩を訪ねた。
急ぎの案件だったとは言え、昨日の内にほとんど対応の準備ができていたことだったので問題なく話が終わり、雑談に興じる余裕があった。
雑談の中で先輩は将来を見据えて働き手を確保していきたいという話をしてきて、渡りに船と思ってみはるんの事を話したら会って話をしてみたいと言ってくれたのでアタシが間に入って紹介させて欲しいとお願いさせてもらった。
善は急げではないけど、この後しなければならない事がなかったのでその足でみはるんの家まで向かいつつメッセージと通話で呼び掛けてみたけど応答がなく、ダメなら改めて出直せば良いくらいのつもりでみはるんの家へ訪問すると、
冬樹君が付き合うだけあってみんな性格が良いようで話していて楽しかったし、普段付き合うことがない現役高校生と話ができたのはビジネスの上でも刺激になったと思う。アタシ自身が女子校出身と言うのもあるけど、アタシが現役の頃はアキラくんとばかり一緒に行動していて他のクラスメイトなどとはあまり親交を深めていなかったのもあって普通の高校生の感覚というのがあまりピンときていなかったので良い機会になった。
今日会った冬樹君の友達で一番目を引かれたのはフランスからの留学生の男の子のレオン君で、最初は
そのレオン君のことが気になって誕生日会の間ずっと見ていたのだけど、彼はずっと春華ちゃんのことばかりで隙があれば側に寄るし話しかけるしと春華ちゃんの事が好きなんだなと言うのが察せられてなんとも言えないモヤッとした感覚になった。
◆レオンローラン 視点◆
幸運なことに留学で訪日してからすぐにハルカの誕生日がやってきて、今日はそのお祝いをする誕生日パーティーの日だ。
ハルカやフユキと親交がある友人たちで集まって料理やケーキ・・・主役のフユキが作ったのは本末転倒だと思ったが、プロ顔負けの腕前でものすごく美味しかった・・・を食べ、それぞれが用意したプレゼントを渡し、ゲームで盛り上がった。
当然ハルカに想いを伝えるべくいつもの様にアプローチをしていたのだけど、今日は普段と違い意図的に避けられているようにも感じる・・・ボクがハルカの気に障ることをしてしまったのではないかと心配になり、フユキやミナミにも尋ねたところ異口同音で『そんなことはないから心配しないで良い』と言ってもらったし、よく観察するとケンゴに対しても同じ様に普段よりも避けているようではあったのでハルカの中で何かあったのだろうと思った・・・
・・・ものの、やはりハルカに嫌われてしまっているのではないかという不安が
それとは別に気になったのはカオリで、やたらとミハルへ敵意のようなものを向けていたように思う。カオリはフユキの事が好きで、その恋人であるミハルに対して悪い感情を持ってしまったのかもしれないと思ったし、当のミハルも同じ疑問を持って尋ねていたけどカオリは否定していた・・・本人が否定したから本当とは限らないけれど、そこまでして嘘をつくのも違うと思ったしボクは直接関係ないので静観するしかないと思う。
また、途中でフユキの恋人であるミハルの友人のレイカが予定外の訪問から参加してきて、そのレイカからの視線を何度も感じた。悪意はないし、日本人特有の珍しい外国人への興味だったのだとは思うけど、日本へ来てから一番見られていたように思う。
当然ゆきずりの人なら一瞬のことだし、学校のクラスメイトなら最初はボクも慣れていなかったから見られていてもそこまで意識が回っていなかっただろうし、ボクが慣れるのと同様にクラスメイト達も慣れていてそんなに見ることがなくなっていただろうから、今回のレイカは異例になるのだと思う。
それでもチラチラ見られていると気になってしまうし、そもそもレイカは見目が良い
いずれにしても、せっかくのハルカの誕生日パーティーをモヤモヤした気持ちで過ごしてしまったのは悔しいけどだからと言ってやり直せることでもないので気持ちを切り替えて来週から挽回したいと思う。
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