第183話
◆
昨日は午後になって急に日頃わたしへ対して不躾な視線を送ってきている男子が呼び出しを受け、しかもそのまま停学になって教室へも姿を見せないままになり『年内は登校しない』とだけSHRで発表された。
それを告げた
もしかすると春華ちゃんが関わっているのかもしれないけど、わたしへの配慮かそもそも関係がないのかわたしが何か質問されることはなかったので知らないふりをする事にしたし、春華ちゃんもこの件には触れないので春華ちゃんがどこまで知っているのかもわからない。
逆に冬樹とお姉ちゃんからは今日の夜に
「ねぇ、春華ちゃん、
通学の電車内、春華ちゃん達に疑問をぶつけてみた。
「うーん、やっぱり学校を辞めちゃうのかなぁ。もしそうなら、せっかく同じクラスになって3年も同じになれるってなったから残念だよね」
「そうだよね。やっぱり学校を辞めるって話なのかな?」
「二人とも、そう結論を先走っても良くないだろう。
案外まったく違う話じゃないかと思うぞ・・・そうだな、ちゃんと婚約をしたいとか言うことかもしれない。
冬樹も
「あー、たしかにフユと美晴お姉ならそういうのちゃんとしたがりそう」
「そう言われてみればそうだね。何かキッカケがあってそういう話が出てきたのかもしれないね。
どちらにしても、聞いてみないことにはわからないか・・・でも、学校を辞めるって話じゃないと良いよね」
「そうだね。想像で悶々としててもしょうがないしこの話はここまでってことにして、そう言えば
「うん、
あと、紹介してくれた夏菜お姉ちゃんにも感謝してるって」
「そうか。私は人に見られるのが苦手だから断ってしまっていたけど、縁を結び付けられたのなら良かったな。
二之宮さんに対しては思うところがあるけど、更生すると言うなら助力も
「そうだね。あたしもまだスッキリしない気持ちもあるけど、前を向いて頑張るって言うならそれはうまくいって欲しいよね」
「二人は凪沙さんに対して厳しいよね・・・って、冬樹を巻き込んだんだし当然か」
「むしろ、あたしは美波ちゃんがそんなに友好的なことの方が解せないよ。
二之宮さんが余計なことをしなかったらフユを傷付けることがなかったのもそうだし、美波ちゃんだって・・・」
「たしかにそれはあるよね。自分でもよくわからないんだ。論理的に考えたら憎んでいて当然とも思うけど、話をして色々な面を見たから
そう考えると、わたしってチョロいのかもしれないね」
「たしかに美波は昔からそういうところがあるな。実際、痛い目を見たんだからもっと気を付けてくれよ」
「そうだよ!ちゃんとしないとダメだよ」
それから学校へ着くまでずっと夏菜お姉ちゃんと春華ちゃんにお説教される事になったけど、二人は凪沙さんのことは悪く言わないし心配してくれている気持ちが伝わるってくるので嫌な気はしなかった。
◆岸元美晴 視点◆
昨日は病院での検査、その結果を冬樹くんへ伝え、今後どうするかなど怒涛の展開となっていて、話が落ち着いたところで急な眠気が押し寄せ、先に休ませてもらった。わざわざ来てくれていたみゆきさんや
「それじゃあ、みはるん。また大学でね」
「何かあったらすぐに私に連絡するのよ。駆け付けるから」
みゆきさんも玲香さんも朝になって冬樹くんが用意した朝ごはんを食べたら帰られた。
「おふたりとも本当に良い人たちですよね」
「ほんとにそうね。今年は良い出会いがあったわ。
玲香さんに対しては入学した時からずっと苦手意識を持っていたけど、そんな偏見を持っていたのが恥ずかしいわ」
「人は見かけによらないとは言いますよね。
ところで、美晴さん・・・」
そこまで言って冬樹くんは数秒何かを考えてから、真剣な表情を作った。
「僕と結婚してください。お腹のこどもと合わせて、全力で幸せにする様に頑張ります」
そこまで言うと相貌を崩して照れ隠しの笑みを浮かべた。
「・・・昨日はみゆきさん達が居て今後どうしていくかなどの話を先にしてしまいましたけど、ちゃんとお願いをしていなかったので・・・本当は真っ先に言わないといけなかったのですよね」
「あはは、先を越されちゃった。でも、私こそ冬樹くんにお願いするね。私と結婚してください・・・私の方がずっとずっと昔から冬樹くんのことが好きでその気持ちだって絶対に私の方が大きいんだから、そこは譲ってくれないかな?」
「え?あ、はい。では、よろしくお願いします。
僕も気持ちで美晴さんに負けないように頑張ります」
そうしてふたりで笑ってからどちらからともなく抱き合って口付けを交わした・・・
・・・何時間も経過したような感覚から唇を離して、お互いに照れ笑いを浮かべて、私は恥ずかしさを誤魔化したくて顔を冬樹くんの胸に
「美晴さん、時間があるなら今日実家へ行く前に指輪を買いに行きませんか?」
耳元で冬樹くんが囁いた言葉を聞きますます幸せな気持ちが膨らんだ。
「うん、行きたい」
逸る思いから端的に気持ちを口にしてしまった・・・もっと余裕を見せてお姉さんぶりたい思いもあったけど、幸せだし不満は全く無い。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます