第182話
◆
美晴ちゃんが先に寝てしまって玲香ちゃんがお風呂に入っている今は冬樹と二人きりになっているのだけど、美晴ちゃんが妊娠したことを告げてからの冬樹の言動を見ていて惚れ直して強く意識してしまい、何を話せば良いのかわからなくなってしまっている。
「今日は本当にありがとうございました。僕が頼りないから・・・美晴さんを支えてくださって感謝しています」
「何言ってるの?私は美晴ちゃんの友達なのよ。友達のためにできる事をするのは当然のことでしょ」
「それでも、心から感謝しています」
「第一、美晴ちゃんだって悪いのよ。冬樹を信頼して最初から相談してればよかったのだから」
「それはいくらなんでも無理ですよ。
「それはそうだけどさ、それにしても冬樹は聞き分けが良すぎない?」
「そうでしょうか?」
「そうよ。妊娠したことだってそうだし、美晴ちゃんの行動についてだってそうだし、全て言われるがままに受け入れるどころか、気付けなかったと自分を責めてすらいるじゃない」
「1度とは言え避妊をしなかった事があったので、その可能性は考えなければならなかったですから・・・僕に言いづらくてみゆきさん達へ相談したのだって、美晴さんの立場になって考えればわかることですから。
僕にとっては美晴さんが一番大事ですし、拗ねる暇があるなら美晴さんにとって必要なことを考えたいだけですよ」
「・・・ったく、ほんっとにイイ男ね」
冬樹の
私は友達付き合いをしていない方だけど、それでも男に振り回されるオンナはたくさん見てきたし、それに反して男に恵まれてると思う女はそんなにいなかった。その恵まれていると思う方ですら、冬樹ほどの実直さでパートナーと向き合っている人はいなかったので特異と言っても良いと思う。
その上で人の良さそうな笑顔を見せてくるのだから惹かれているのも仕方がないと思うけれど、美晴ちゃんがいるのだから当然この気持ちは胸に秘めておかないといけない。
第一美晴ちゃんのことも好きだし、この気持ちは折り合いを付けて前へ進んでいきたい。
玲香ちゃんもお風呂から上がってきて、今度は冬樹がお風呂へ向かった。
玲香ちゃんの髪を乾かしてあげながら互いの美晴ちゃんや冬樹との関わりについて話していたけど、玲香ちゃんも美晴ちゃん達にものすごく迷惑をかけていて、でもその中で二人に惹かれていっていると言う共通点があってシンパシーを感じた。さすがに私が冬樹に泣き付いて抱いてもらったことは言えなかったけど・・・それはそれとして、玲香ちゃんも冬樹へ恋心を
◆
美晴さんから妊娠をしたという話を聞かされた。
ただ、それでも予兆を感じて不安だったりした時に相談してもらえなかったのは悔しく思う・・・妊娠したと告げたら心のどこかで僕が傷付けるのではないかと美晴さんに思わせてしまっていると言うことで、
その不甲斐ない僕に代わって寄り添ってくれたみゆきさんや
また、妊娠を知ったからと言っても僕ができることは限られるし、出産後のことを考えたらできるだけ人の助けを借りやすい環境を作らないといけないと思って、実家の近所・・・深夜でもすぐに行き来できる徒歩圏には引っ越したいと思う。
夏に実家へ足を踏み入れて病院へ運ばれた時の事を考えるとその事で美晴さんに心配をさせてしまう本末転倒な事になりかねないと考えたけど、ハルや姉さんや
近い内に美晴さんが妊娠したことの報告と婚約のお願いをしに行くけど、問題なく成し遂げて美晴さんにも家族にも安心してもらえる様にしたいと思う。
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