第112話
◆
敬老の日の翌日、放課後になって生徒会のお姉の手伝いでもしようかと思いながら帰りの支度をしていたらフユのクラスメイトの
「神坂君・・・って今は紛らわしいですね、
「率直なところ、私にも春華にもわからない。
なにせ5月に例の騒ぎがあってからすぐに家を出て一人暮らしを始めて、ほとんど接点がなくなってしまっているからな。
最近になって少しビデオチャットでやり取りをする様になったが、それだって微々たる時間だ」
「そうですか・・・あと、
「
春華、お前から見てどうだ?」
「う~ん、正直よくわかんないんだよね。最近は
「ええ?二之宮さんと一緒に勉強してるんですか?」
「うん。新学期になってすぐの頃に美波ちゃんから誘ってそれから一緒に勉強するようになって、一昨日は一緒に遊びにも行ってたよ」
はっきりしていない二之宮さんの疑いについては言えないよってことで当たり障りのない話をしているけど、何か聞いた方が良いのかな?
でも、そういうのは得意じゃないしお姉に任せて良いかな?
「そうなんですね・・・でも、ふたりとも引き籠もったりしていないみたいで良かったです」
「ところで、大山さん。クラスの雰囲気はどうなんだろう?
冬樹に美波、二之宮
「そうですね・・・やはり暗いです。特に新学期になってすぐの時は神坂君への冤罪を広めた主犯扱いで学校中から後ろ指を指されていましたし・・・」
「そうだったな・・・私達もその件では大変だった」
「そうですよね。生徒会長は怪我をされたんでしたよね」
「そうだが、怪我の功名とでも言うのか校内の雰囲気を払拭できたので結果的には良かったな」
「たしかに、生徒会長が救急車で運ばれた翌日からうちのクラスも責められる雰囲気がかなり和らぎました」
「意図して起こしたわけではないが、そういう意味では私が怪我した甲斐があったというものだな、フフッ」
「ちょっとお姉、なにバカなこと言ってるのよ。あの時はすごく心配したんだからね!」
「すまない。でも、あれで春華への当たりも弱まったし結果的には良かったと思っている」
「たしかに・・・それで今学校へ来ているわけだしね。
って、そんなことより大山さんの話だよ」
「雰囲気が暗い原因のひとつに神坂君へ積極的に嫌がらせをしていた男子生徒たちが槍玉にあがっていて、先のクラス全体が責められていた時の分まで乗せてクラスメイト達から責めている状況があります」
「当人たちからすれば、積極的に冬樹に嫌がらせをしていた連中のせいで巻き込まれたという思いにもなって責め立てるか・・・」
「被害者である神坂君がいないから歯止めが掛からない様にも思います。全てがそれで解決するとは思いませんけど、神坂君が来てくれれば雰囲気も変わるかなって・・・それで・・・」
「たしかに、被害者の冬樹がいて、それで冬樹が何もしなければ周りはそれ以上何もできなくなるな。冬樹のことだから何もしないだろうし・・・でも大山さん、それだけじゃないだろう?」
「はい・・・せっかく話せるようになって仲良くなれると思っていたのに、会えないのは寂しいです・・・」
話はお姉に任せて様子を見ていたけど、大山さんはたぶんフユのことが好きなんだろう。そして、だから学校で会いたいのだろうということを察した。お姉は存外こういうことには鈍いのでクラスメイトがいないのが寂しい程度の受け止め方をしているように思う。
「あと、岸元さん、それと話をする事ができるなら二之宮さんにも伝えていただきたいのですけど、二人のことを変な目で見ている人はいないです。鷺ノ宮くんたちの被害者だってわかっているので、視線や噂を恐れているなら大丈夫だから一度学校へ来て欲しいです」
◆岸元
夜になって
また、そのクラスメイトが言うには美波や二之宮さんについて性的な動画について変な目で見る様な人はいないということらしい・・・案外ふたりきりで会うよりも学校へ行った方が良いのかもしれない。二之宮さんも他の生徒の視線がある方が牽制になる様に思うし・・・でも、冬樹くんのことを考えるとあまり安易に考えたくはないし・・・う~ん、悩むなぁ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます