第39話
◆
職員室にいた何人かの先生にも部活動の立ち上げについて聞いてみたら
マンションの前まで戻ると二之宮さんと鉢合わせをしてしまった。
「
「ええ、近くに来たついでに学校にも寄ってたの」
「そうなんですね。でも、なんでまた神坂君のお家まできたのですか?」
「忘れ物に気付いてね。それを取りに戻ってきたの」
「そうなんですか。何をお忘れになったのですか?」
「神坂君に頼んで貸してもらった本なのだけど」
「本だったら明日で良かったのではないですか?」
「たしかにそうね。でも、まだ近くに居たし、良いかなってね」
「それはそうかもしれませんけど、先生と生徒の距離が近いのはいささか問題なのではないですか?
最近、学校でもよく神坂君が音楽準備室へ入っていくのを見掛けますし、怪しく見えてしまいますよ」
「そうね。ただ、神坂君は最近まで私物をいたずらされる危険性が高かったから音楽準備室で預かっていてあげたのよ。
それでよく出入りしていたのはあるわね」
「それならしょうがないですね。神坂君が私物をいたずらされる危険性もなくなったし、これからは音楽準備室へ行く必要はなくなりましたね」
「たしかに、その必要はなくなったのかも知れませんね」
「ええ、神坂君がクラスメイトと本来あるべき交流をできる様になったのですから必要なくなっていますよ」
そんなやり取りをしていたらマンションから神坂君が出てきて借りた本を忘れたという嘘を元に戻ってきたことと偶然二之宮さんに出会って話をしていたことを告げ、駅まで行くと言った神坂君に二之宮さんも付いていった。
それを見届けたら買い物袋を持った岸元さんが戻ってきて声を掛けてきた。
「先生、大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫ですよ」
「その割にはずいぶん二之宮さんに追及されているように見えましたけど。冬樹くんに来てもらって良かった感じですよね?」
「神坂君がタイミングよく来てくれたのって、岸元さんが呼んでくれたからですか?」
「はい、お節介かなとも思ったのですけど、先生ひとりで躱しきれなそうに見えてしまったので冬樹くんに電話して対応をお願いしました」
「正直なところ、助かったわ。二之宮さん、わたしが神坂君と不倫していると思っていたみたいで・・・
恐らく学校で神坂君が
「それで、不倫しているとまで思うのはいささか思い込みが強すぎではないですか?」
「わたしもそう思うのだけど、二之宮さんが何を考えているのかわからないわね。
生徒相手にこういう事を言いたくはないのだけど、何かを企んでいる様な
「私も二之宮さんからは、なにか嫌な感じを覚えます。根拠のない感覚的なものなのですけど、警戒をしたくなるものです。
先生もそういうことを感じるということは警戒しないといけないと思います」
「そうね。本当は嫌だけれど、二之宮さんを疑わなかったせいで何かあると嫌だものね。神坂君が戻ってきたら相談しましょう」
「はい、そうしましょう」
神坂君が戻ってきてから、岸元さんと一緒に二之宮さんについて嫌な感じがすることを話したら、神坂君も引っ掛かりを覚えているということだった。
また、部活動の新規立ち上げに必要な情報も共有し、明日早々に部室を確保しにいくことになった。神坂君は自分が前に出れば校長も迅速に承認するだろうと言ったが、状況的にこれくらいは便宜を図ると思われる状況で、生徒会長はお姉さんの神坂
岸元さん経由で夏菜さん達にも動いてもらうように伝えてもらって、明日の朝から合流して立ち上げの動きをすることになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます