第11話 株のれくちゃーだぞい!


「これは...なんですか?」


「これはこの国レビヤーノ公国の株式市場の主な大企業の株価一覧じゃ...」


「へぇーソウナンデスカ」


この老人はどうして、俺にこんな関係のないものを見せようとしているんだ?

俺はかなり無関心に機械的な声で相槌を打ってしまった


「まあ、予想通りの反応じゃのう~結構結構ふぉっふぉっふぉっ!では、次にの、これを見て欲しいのじゃ」



1か月前の記事にはこんな事が書いてある


健康食品メーカー ヨズーヤ 僅か3か月で 株価1000倍!


そのウェブのニュース記事には、そのヨズーヤ株式会社の大株主一覧が表示されている。

ミゲル フォン シュビッツ 氏 25%  取得日 ○○〇年 2月......


「こっこれは!!ミゲルだ!」

これは一体どういうことだ!?...あの株なんか絶対やりそうもない、野蛮で下品なミゲルが株取引、驚いたな...


では、こちらのニュース記事を見てもらおうかの...



新興航空機メーカーべーイング 株価爆上がり!!1万倍!


筆頭株主

ヨゼフ コーヘン 氏


あっ!!こっちはヨゼフだ!


ヨゼフとやらも、株価が上がる前は、病気がちの気弱な青年じゃったんじゃよ。これがその時の写真じゃ。これも僅か1か月前になるの~う


まさか!


そのあと、いくつかの株価のチャートと、株主一覧をみたところ、

あのパーティーのメンバーが全員、株価が爆上がりした銘柄を保有し、それと同時に強い能力を持つようになっていることがわかった。


「俺以外の、あのパーティのメンバー全員が、能力を手に入れる直前には、持っている株が爆上がりしているってことですね...そしてそれと同時に冒険者として強い能力を持った....これは一体どういう事なんですか!」


俺は、全身が不思議な高揚感に包まれるような感覚に陥っていた。


「奇妙じゃろ?お前のかつてのパーティーのメンバーだけの話ではないのじゃよ、他のパーティーや単独で冒険をしている者もみなこんな感じじゃの...」


「まさか...俺の今までの努力は全て無駄だったのか...」


「まあ、そこまでは言い過ぎとは思うがの、現に己の努力のみで成功したものも僅かながらおるでなあ~」


「もっとこれについて詳しく教えてください!」


「すまんが...正直、儂にもまだ全容までは分かっておらんのじゃよ.....ただ現時点では、持っている株が高騰すると、その者にはその株主となっている企業の持っている隠れた技術や知識が株価と連動する形で、株主に強化され付与される...恐らくそんなところじゃろうが、まだ詳しくは分かっておらん...謎の部分が多いのう」


「そうですか...でも、俺にはそんなお金がないです」


「金なら心配せずとも、儂も少しばかり蓄えがある!任せておくぞよ~」


「まあ、お互いにうぃんうぃんの関係じゃな!お主の数字に強い能力を使えば、株式市場で高騰する株を購入して、努力ぜず、強い冒険者になることもできるという、そして儂は、お主の予想した株を買わせて儲けさせてもらおうという算段じゃのう~~ふぉっふぉっふぉ」


よし!これならあいつらを見返すことができるぞ!!

俺は無意識に手を強く握りしめていた。

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