第5話 アホ装備




グンターに組み伏せられた俺は、その後グンターの父親と母親に

こっぴどく叱られ、食事のあと昔から使わせてもらった俺の部屋に閉じ込められ外から何重にも南京錠を掛けられ半ば監禁状態にされてしまった。


いや、これって"半ば"じゃなくてガチで監禁じゃねえか!

カジノの換金はだーいすきですが、"監禁モノ"はするのもされるのもご遠慮です!


とりあえずグンター家族が寝静まる真夜中まで待つ

農家だから寝るのは早いなあ~



さてと…昔からこの部屋は使わせてもらっているので、脱出の方法も心得ている。子供の時からここの両親にはいろいろ迷惑かけてるなあ~今度もごめんね。


例えカギを何重に掛けられても、天井板を外して部屋からは簡単に出れたので、問題は全くなかった。


天井裏を這うようにして移動し、いつも通りにキッチン兼リビングルームにあるテーブルの上にそっと飛び降りる


スタっと降臨!

「引田天功改め、プリンセス天功です!」

おめめ キラキラ✨


な~んてお茶目なジョークを飛ばしても誰も聞いてもらえない....

一瞬だけおセンチな雰囲気を味わい、玄関まで向かいジッと木製のドアを凝視する。


さてと、このドアが問題だ....

リビングにある大きな木製のドアに掛けてある銅製の古いカギを外すのはそれほど問題ではない。


ただ、このドアが曲者で、少し開けただけで、大きな軋んだ音がなる。

少しだけ考えたけど、ここだけは正攻法しかなさそうだ!


ギイィイ

軋んだドアの音が否応なしに、玄関に響き渡る。


やばい!一瞬だけ緊張感が走る------------------おしっこ1cc位もれそうになるが、ギリギリセーフ


幸い誰も起きてくる気配はなかった。


ああ...良かった...


--------------------------------++++


グンターの家を出た後、俺は村の唯一の武器、防具店でカジノで得た資金を元に

一通り冒険者の装備を整えた、もちろん安物ではなくかなり資金を投入した。自分のひ弱さを補うための必要経費だ。

買い物中、武器防具屋のオヤジは、


『どうだいハンス、この剣なんかどうだ?これはベンチャー企業が作ったものだが、将来はかなり有望な企業に育つから、是非試して欲しい。それなりの経験値もつければ将来倍の値段で買取も可能だよ』


などどいって、いつも買っている剣よりも3倍くらいの値段の剣を売りつけようとしやがった....


手に持たされた剣は、なんだか軽くて持ちやすいけど、子供が持つおもちゃの剣みたいで、頼りなさそうなものだった。


剣の柄のところには、剣WOOD AI inside と刻印されていた。

チャ~んチャチャチャちゃ~ん



う~~んなんだろう、頭の中で変なサウンドが聞こえたけど…


俺はいまいち好きになれなくて、それに良く知らないメーカーに資金をつぎ込む訳にはいかないので、いつも選んでいるミツバシ重剣業製の初心者用の剣と盾、防具を選んだ。初心者用とは言えすべて木製ではなく鋼鉄製。多少思いが、敵から受けるダメージも少なくて済む。


俺は一先ず装備を揃えて魔物がうごめく洞窟へと向かっていった。




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