罪とばツー

「判決は死刑」

 裁判官が告げる。

 被告人はがっくりとうなだれた。

「判決は死刑」

 その裁判官の裁判を担当していた裁判官が告げた。

 前の裁判官はがっくりとうなだれた。

「判決は死刑」

 直前に判決を告げた裁判官の裁判を担当していた裁判官が告げる。

 一つ前の裁判官はがっくりとうなだれた。

「判決は死刑」

「判決は死刑」

「判決は死刑」

「判決は死刑」

「判決は死刑」

 ついに、最後の裁判官の判決が下る時が来た。

「判決は……全て無罪」

 全ての裁判官、そして最初の被告人から歓声が上がる。

 そして、裁判所の前では歓喜の涙を流す人々の手によって、『不当判決』と書かれた紙が掲げられた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る