第2話 招待

今日もまたいい天気。

気持ちのいい朝…とは少し言いづらい。昨日のあの反応は良くないよね…。

でも、どこの誰かもわからないし…。

覚えているのはきれいな金色の髪に美しい青い目。そして、端正な顔立ち…。

もしまたどこかで会えたらちゃんと目を見てごめんなさいって言わないと。急だったとはいえ目も合わせずごめんなさいって言って走り去るなんてよくないから。

ぐるぐると頭の中で考えていると、ドアをノックする音が。

「リリア、お手紙来てるわよ」

お母さんだ。

「はーい」

扉を開けて手紙を受け取る。差出人は……ローズって書いてあるけど…誰だろう?

「あら、ローズってきれいな名前ね。確か第三王子様もローズって名前だったわ~」

差出人をみたお母さんの話を聞きながら、手紙の内容を確認する。

そこに書いてあったのは──


【招待

   

      リリア

  

     君をパーティーに招待するよ


                ローズ   】


パーティー?招待?それにここに書いてあるローズって…

状況が理解できず混乱していると

「あら、誰か来たみたい」

お母さんが急いで玄関に向かった音ではっとする。

えーっととにかくこの手紙…というかこれはいったん考えないようにしよう。うん。それがいい。よくわかんないし。

「リリア~あなたに用があるみたいよ~」

お母さんに呼ばれて手紙を部屋に置き階段を降りる。

誰だろう?

「はあい。ごきげんよう。あなたがリリアちゃんね」

そこにいたのは、淡い紫色の髪に同じ色の瞳をした美しい女性が立っていた。

「えーっと…どちら様でしょうか…?」

「ごめんなさいね。説明している時間はないの。あなたのお部屋、上の階かしら?」

その女性は私が下りてきた階段のほうへ行きスタスタと登っていく。

「あの──!」

私は後を追いかけるように階段を駆け上がった。

階段を登れば女性の姿はなく私の部屋の扉が開いていた。

「あのっ!なんでここ、私の部屋って…」

「ん?匂いでわかるわよ。ほら、早く部屋に入って」

言われるがままに部屋に入る。

「そこに立っててくれる?」

「えっと…わかりました」

状況が呑み込めないままわけもわからず立ち尽くす。

きれいな顔の女性にまじまじと見つめられ、緊張してしまう。

なんか…ドキドキする…。

「はい!もういいわよ。動いても。それじゃあ私は帰るから」

緊張とドキドキから解放されたと安堵していると何もわからぬまますべてが終わりそうで、急いで引きとめる。

「あのっ、待ってください!私、なにも理解できてないんですけど…」

「あら、そうなの?でも机の上に招待状があったじゃない。そこに書いてある通りよ?」

階段を下りながら説明してくれた女性。ありがたいけど…まだよくわからない。

「あなた、ローズに気に入られたのよ?だからちゃあんとパーティーに来なさいね。じゃないとこの時間も無駄になっちゃうわ」

「あの、それって…」

「あれは招待状よ。今度開催されるパーティーのね。その日になったら迎えが来ると思うから、ちゃんと来るのよ?いいわね。それじゃあまた会いましょ、リリアちゃん♪」

速足で帰ってしまった女性の説明で、パニックになった。

招待状って…それにローズさんって…私、会ったことないはずなのにどうして…。

「あら、リリアってばいつの間に王子様とお友達になったの?すごいじゃない」

「い、いや!違うよ、お母さん!」

「そうなの?でも招待状が届いたんだから断ったら失礼よ。本当に嫌なら断ってもいいと思うけど…」

会ったこともない王子様からの招待状…。正直すごく怖いけど、もし断ったら…。

そんな、いやな妄想がどんどん膨らんでいき私は行くことを決意した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る