サファイアに映るのは

ぺんなす

第1話 出会い

窓からのまぶしい日差しで目を覚ます。

今日はとても天気がいいみたい。

下の階から漂ってくる匂いにお腹が鳴る。

早く朝ごはんを食べよう。

階段を降りると、テーブルの上には朝食が並んでいた。

「リリア、おはよう」

母の優しい声色と微笑みで心が穏やかになる。

「お母さん、おはよう。 …お父さんは?」

ふと父がいないことに気が付いて母に聞いてみる。

「あの人なら出かけたわ。朝から用事があるって」

「そうなんだ」

会話をしながら、母は朝食の用意を全て済ませ、椅子に座る。

私も椅子に座り朝食の時間。今日という一日が始まる。

朝ごはんを食べ終えて一息つく。

この後は何をしようかな。ぼんやりと考えていると

「リリアお願いがあるんだけどいいかしら?」

「大丈夫だよ。お母さん」

「じゃあ買い物に行ってきてほしいの。このメモに書いてある物を買ってきてくれる?」

「うん。わかった」

私はそう言ってメモを受け取り、二階に上がり出かける準備をする。

よし、準備完了!

「行ってきます!」


雲一つない青空の下、買い物を順調済ませている私はいつも利用しているお店に到着する。ここでの買い物を済ませればお母さんに頼まれたことは完了する。

「リリアちゃんいらっしゃい」

少し大柄で優しい笑顔の店主さん。

「こんにちは」

「今日は何が欲しいんだい?」

「今日は──」

一通りの買い物を済ませ、安心する。

「そういえばリリアちゃん。今日は騎士団様が来てるからあっち通りの道は人がたくさんだよ」

そういえば街が少し騒がしかったなと、気がつく。騎士団様が来てるなんて珍しい。

騎士団様はこの国、ウェルディア王国の優秀な騎士様たち。

月に何度か各地の見回りをしているらしい。けれど、見回りに来る頻度はまちまちでこの街にはあまり来ない。

「しかも団長様がいるらしいよ」

「団長様が来てるんですか?確かにそれは街が騒がしくなっちゃいますね」

騎士団様が見回りに来ることは何度かあっても団長様がいることはめったになくて、物珍しさで街が騒がしくなっているみたい。

私は店主さんにお礼を伝えた後、騒がしくなっている通りの道は避け帰り道を歩く。

人通りが少なく穏やかな風が吹いている。

うん。気持ちいい。

心地よい天気にほのぼのしていると体に衝撃が走る。

「きゃっ…!」

ぼーっとしていて、人とぶつかってしまったみたい。

「ごめん!大丈夫?立てる?」

地面に座り込んでしまった私の目の前には美しい金色の髪と青い瞳の青年が手を差し伸べていた。私は差し伸べられた手を取り立ち上がる。

「ごめんなさい。ぼーっとしていて…ケガはありませんか?」

「僕?全然平気だよ。君はおもしろいね。自分の心配より僕のこと心配するなんて」

「いえ、そんなことは…」

予想外の反応に戸惑っているとさらい予想外な言葉が耳に入ってくる。

「ねぇ君名前は?好きなものは?嫌いなことは?」

突然思ってもみなかったことを言われて私はわけもわからず「ご、ごめんなさい!」そう言ってその場を去った。



「ローズ様、こちらにいましたか」

「! 見つかった…」

「お一人で行動されては困ります。団長様もお探しです。それにそろそろ帰るお時間ですよローズ様」

「もう?早いよ~」

「ローズ様」

威圧感のある笑顔に仕方なく城に戻ることを決める。

と、その前に

「ジャック!ちょっとお願いがあるんだけどさ」

「何なりとお申し付けください」

「うん!じゃあ──」

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