第3話

 皆さんこんにちは。元人間、現オークの田上敦ことトンです。

 今、僕は死者の迷宮第六階層を半分ほど進んだところにある安全地帯(セーフティポイント)にいます。

 ここは他とは違い魔物が現れることがないみたいで、よほどの幸運の持ち主ではない限り、見つかるのは稀で滅多にないとのこと。(エクス曰くダンジョンにはこういう場所がいくつかあるらしい)

 エクスはこう言うけど僕は既に二か所ほど発見している。

 じゃあ僕はすっごい幸運の持ち主になるわけだけど、地球に居た頃は特に運が良かったことはなかった。

 もしかしてこのオークボディのおかげなのかもと思っている。なにしろ生命の女神様が作った特別製らしいからね。

 あ、そうそう、あれからアリスたちは僕を追いかけて来ることはなかった。

 だからこうして僕はリラックスしているんだけど、あのアリスって女の子には悪いことをしてしまったと今は反省してます。

 仕方なかったとはいえまさか攻撃を反射して衣服がボロボロになるとは。

 おまけに事故でむ、胸を……揉んでしまった。

 あれじゃ怒るのも仕方ないよな。もし、次に出会うなら謝ろう。命あるといいな。

 

「おい、やめろ。豚野郎の辛気くせぇため息なんか聞きたくもねぇ」


 ちょうどいいサイズの岩の上に座りつつ、僕はこれまで喋らなかったエクスへ不満げに愚痴を言う。


「エクスお前今まで黙ってたくせに何だよ。僕が声をかけても返事もしないし」

「あーあーうるせぇうるせぇ。何で俺様がクソ雑魚(ざこ)豚野郎の呼びかけに答えねぇといけねぇんだよ。お前がエクス様どうかこの哀れな豚めの話をお聞きくださいって言ったら考えてやってもいいがな」

 

 ベアトリスとかいう魔法使いの魔法を受けて不具合でもおこしたかと思ったけど、この様子じゃ心配はいらないみたいだ。

 むしろ何で壊れてくれなかったんだと言いたい。そうしたらこのやかましい声も聞かなくて済むのに。


「黙れこのポンコツ。豚野郎と呼ぶなって何度言ったら分かるんだ」

「ハッ、豚野郎は豚野郎だろうが。まぁ俺様は別にトンと呼んでいいぜ。同じ意味だしな」


 ぐぬぬ! 田上敦と呼べと言いたいけどこの見た目で呼ばれるとそれはそれで嫌だ。妥協するしかないのか……くそっ!

 

「はぁ、分かった。僕のことはトンって呼べ。なぁエクス、僕は他のことが気がかりで頭が痛い」

「あ? 何だよ?」


 チラリとエクスを見下ろす。


「僕は人と会えればもしかしたら話を聞いてくれるんじゃないかって思ってたんだ。でも、問答無用で襲われ、誤解だと喋りかけても聞く耳もたず。これから先、出会う人々全員がそうなのかなって」


 ガックリと肩を落とす僕。期待していたぶん落胆も大きかった。


「ブハハハハハ! 何だそのことか。いいぜ、面白れぇから教えてやるよ。どうしてお前が憎まれているのかを」


 嫌な予感がする。聞いたらきっと後悔する。おそらく僕はこれから絶望で死にたくなると思う。

 腹の奥から絞り出すように「どういうことだよ」と訊ね、エクスは心底楽しいといった感じで教えてくれた。


「トン、お前は何だ?」

「は? 人間だよ」


 僕はエクスからの問いに間髪入れずに答える。


「あーわりぃ。質問を少し変える。今のお前は?」

 

 返答をするのにちょっと抵抗があったけど僕は「ぐっ、オーク」と呟く。


「そうだお前はオークだ。オークってのはこの世界ではゴブリンと並んでそれ以上に嫌われている魔物なんだよ。特に女連中からは見かけたら逃げるか殺すかと言われてるほどだ。理由は説明をしなくても分かるよな?」

「その……えっと…エッチなことをするからで、あってる?」


 たとえ誰も聞いていなくても言葉にするのは憚られる。

 幸いエクスにはそれで通じたため、そのことについて言及されることはなかった。

 

「ああ、ゴブリンとオーク両方とも他種族の雌で繁殖する魔物だ。ゴブリンよりも嫌われている要因として、一個体でもまぁまぁ強いこと、そして相手を魅了や発情状態にするからだ。トンも心当たりがあるだろうが」


 ま、まさか、アリスがあんな風になったのって、もしかして僕のせい?

 いやいやいや、オークにそんな力があるって聞いたことないけど。

 えっ、嘘。マジで? 確かにあのときアリスは僕の血を口にして飲んだ。

 しかし、飲んだといっても少量。ほんの数滴だ。それだけであんな感じになるとか信じられない。


「嘘でしょ本当に?」

「ブハハハハ! 厳密に言うとオークの体液――血や唾、精液を体内に摂取するとなる。ただ、血を数滴含んだぐらいじゃ普通はあんな風にならねぇ。あの女との実力差を考慮してもな。だが、お前は普通のオークとは違う。生命の女神が神の力を使って作った特別製の身体だ。おそらく抵抗できる女は世界に数人も居ねぇだろうよ」


 とんでもない事実に僕は驚愕の顔をエクスに向ける。


「良かったなトン。これでハーレムを作り放題だぜ。ブハハハハハ!」

「だ、駄目だよそんなの! そんな力で相手とその……エッチなことをしたって僕は嬉しくない!」

 

 僕はアリスのことを思い出し自己嫌悪に陥る。

 謝ったぐらいじゃとても許されないことをしてしまった。

 何で僕はオークなんかに転生をしてしまったんだろう。

 いや、転生させてくれた生命の女神様にはもちろん感謝している。 

 たとえ勘違いでオークの器を作り、そこに死にたてほやほやの僕の魂を入れたとしても。

 元はと言えば僕のあだ名がオークだったのが悪いんだ。

 敦(あつし)→敦(トン)→豚(ブタ)→豚頭人(オーク)

 という流れで、見た目も太っていたから一部の人間からそう呼ばれていた。

 女神様が突然異世界から来た僕の魂に驚いて、ろくに確認もせず転生をさせたと聞いたとき、さすがの僕も乾いた笑いしか出なかったけどね。


「チッ、つまんねぇ。真面目かお前は」

「うるさい馬鹿。僕は今すごく落ち込んでいるんだ。罪の意識で心が押しつぶされそうだよ。絶対に謝ったぐらいじゃ許してくれないよきっと」

「そんなお前にいいことを教えてやろうか」

「な、何だよ」


 めちゃくちゃ腹立つ声で言うエクスに僕はものすごく嫌な顔をする。

 もしコイツに顔があったとしたらニヤニヤと満面の笑みを浮かべていることだろう。


「お前はオークだ。魂は人間だが身体はオーク」

「……? 一体何が言いたいんだよ」


 エクスの言いたいことが分からず僕は首を傾げる。

 

「お前はオークが人間の言葉を話せると思ってんのか?」


 は? コイツは一体何を言っているのだろう。

 僕はエクスの言葉を理解できずにフリーズする。

 だって僕は今まで何の不自由なく喋っているじゃないか。

 待て、アリスたちとも普通に会話……出来ていたか? 

 今思えば少しおかしいところがあったような。

 いや、少なくともアンジェリカとは会話が成立していた。

 だから質の悪いジョークだと。自分でもそんなわけないのにそう思おうとして、すぐに現実に引き戻される。


「現実逃避するのは勝手だが事実は変わらねぇぞ。自分でも話が通じないと感じてただろ。アイツらが怒り狂っていたのはブヒブヒと喋るオークに馬鹿にされていたと思っていたからだ」

 

 あまりの残酷な現実に僕は耐えきれず思いっきり叫ぶ。


「嘘だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ! え、ええ、嘘だと言ってくれエクス!! 僕とお前はこうして会話しているじゃないか!」


 必死に笑いをこらえているような口ぶりでエクスが告げる。


「それは俺様だからだ。つーか、お前今まで喋ってて気づかなかったのか? 自分がブヒブヒとしか喋れていないことに」

「お前に言われるまで気づかなかった。今も普通に喋ってるつもりだけど……」

 

 そう僕は日本語を喋ってるつもりでエクスと会話してる。だから今まで疑問に思わなかったんだけど。


「ああ? どういうことだ? いや待てよ……異世界から来た人間には…だからつまり……」


 ブツブツとエクスが小声で呟く。僕はつい声を荒げてしまう。


「エクスっ!」

「あー落ち着け。おそらく原因は魔物の身体に人間の魂が入ったことによるエラーだな。お前は史上初めての魔物になった転生者。どんな不具合が起きても不思議じゃねぇ。ま、ドンマイ」

「嘘だっ!」

「こんなこと嘘ついてどうすんだよ馬鹿」

「うっ、ならアンジェリカについてはどう説明するんだよ。あの子は僕の言葉を理解していたように思えたけど!」

「ブハハハハ、あれはお前の言葉が分かっていたわけじゃねぇよ。あの女は聖女だ。人間の中では特別で生命の女神の恩寵を受けてる。お前と同じようにな。だから意思を感じ取っていたんだろうぜ」

「そ、そんな……」


 絶望に打ちひしがれる僕。豚の頭を抱えて背を丸める。そんな僕に対してエクスは更なる追い打ちをかけた。


「ちなみにあのアリスってやつは光と正義と秩序の神の加護を受けていたな。俺様が知る限りあの女神を信仰してる女ってのは生涯で一人の男性しか愛さないそうだ。当然、自らの裸も愛する男にしか見せねぇはず。そんな女がオークなんかに裸を見られた。俺様なら屈辱で夜も眠れねぇ。しかも、その事実が大勢の人間に知れ渡ったとしたら、どうなるかはお前でも簡単に想像がつくだろ」

「で、でも、彼女の仲間が言いふらすとは思えないけど」

「ああ、そうだろうな。だが、お前が出会ったのはあの女たちだけじゃねぇ。気を失った二人組の少女がいただろ。目が覚めたらこう思うはずだ。『高位の魔法による結界が展開されている。自分たちは誰かに助けられた』と、よほどの馬鹿じゃなければ自分たちの住む街へ戻る。そうすれば街の人間にオークに襲われて何者かに助けられたと話す。魔法による結界が張られていたと言えば誰が助けたかは一目瞭然。アリスたちのパーティーだ。オーク程度の魔物なんかすぐに倒して戻ってくると誰もがそう思う。そこに服がボロボロに破けたアリスと暗い顔をする仲間たち。何が起こったのかは子供でも分かる。アリスはオークに返り討ちに遭い襲われた。可哀そうに噂が広まるのは早ぇだろうな」


 うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 僕は何てことをしてしまったんだ!

 謝ることはおろか土下座しても許されないぐらいの罪だ。

 どうしたら…どう償ったらいいんだ。

 おとうさん、おかあさん、天国のおじいちゃん、僕はとんでもない犯罪者になってしまったようです。

 死んでお詫びを。ごめんなさい、死にたくないのでそれ以外なら何でもするから許してください。


「ブハハハハ! 面白くなってきた。これであの女は恥辱を晴らすためお前を殺しに追いかけて来る。ま、せいぜい頑張れよ。もし、今の状態で遭遇すればまず間違いなく死ぬからな。それぐらいの実力差がお前とあの女たちにはあるぜ」


 ブ、ブヒィ。ただでさえハードモードの異世界生活がベリーハードモードに突入したよ。

 

「具体的にどれぐらいの実力差があるのか聞いてもいい?」

「あーそうだな。ゴブリンとワイバーンぐらいじゃねぇか? 正直、お前はよく生きていたなと思ってる。あの女たちが油断してなければ邂逅した時点で即死だ」


 良かった。油断してくれて本当に良かった。

 ゴブリンとワイバーンってどれだけ力の差があるんだって話だ。

 それは納得なんだけど。だってエクスとあの魔法がなければ少なくとも僕は二回死んでるからね。

 次に出会ったときアリスたちに通用するかどうかはたぶんNOだ。

 対策されてるから僕に向かって魔法を使用することはないし、僕が魔法を放つ前に瞬殺すると思う。

 つまり死なないようにするためには僕が強くなるしかないってことか。

 でも、どうやったら強くなれるのか全く見当もつかないや。

 そもそも僕は地球では普通の高校生だった。

 喧嘩もしたことないし、格闘技や何かの武術を習ってたわけじゃない。

 ゲームみたいにコマンド一つで敵を倒せたらどれだけいいか。

 せめて物凄いチートのような能力があれば別なんだけどな。

 もしかしてあの魔法が僕に与えられたチート能力だったりして。

 もしそうだったとしたら納得は出来る。いや、やっぱり微妙だな。生命の危機に陥っていないときのデメリットが酷すぎるもん。


「一つ聞きたいんだけど僕がアリスたちよりも強くなれる可能性はある?」

「ブハハハ! ねぇよ。自分でも分かって言ってんだろうが」


 やっぱりそうだよね。はいはい、分かってましたと。聞いてみただけだよ。もしかしたらワンチャンあるんじゃないかって思っただけ。


「まぁね。こんな僕でも見れば分かる。アリスたちには天性の才能があるって」

「そうだ。あの女たちは天才の部類だ。いずれ英雄になれる素質がある。対して、お前は凡人だ。そこらで野垂れ死ぬ運命の男……と言いてぇが、それは人間だった場合の話だ。今のお前は魂こそ人間なものの身体は魔物。可能性は限りなく低いがゼロじゃねぇ」


 まさかのセリフに僕は椅子代わりにしていた岩から立ち上がり、エクスに向かって叫ぶ。


「マジでっ! う、嘘だったら承知しないぞ!」

「ブハハハハ! それどころか人間と会話できるようになるかもしれねぇし、もしかすると元の田上敦の姿に戻れるようになるかもな」

「本当に!? それを聞いたらすっごいやる気が出てきた! 僕は頑張るよエクスっ!」


 さすがにこのままずっと人間と会話が出来ないのはつらい。

 しかも、オークから人間に戻れるようになるって!? 死者の迷宮を攻略しないと駄目だった気がするけど、こんなのやる気が出ない方がおかしいよ!

 元に戻るのは半ば諦めていたところもあった。でも、絶望もあれば希望もあるんだね。

 

「それで、僕はどうすればいいの!!」

「あ? 何が?」


 エクスは心底どうでもいいと言わんばかりに返事をした。僕は怪訝な顔を浮かべて再度聞き返す。


「いやいや、何がじゃなくて。どうやったら強くなれて僕が元の姿に戻れるようになるのか教えてくれよ」

「嫌だ。断る。言っただろ。俺様はお前のサポートをするつもりはねぇってよ」

「はぁ!? ふざけんなよ。いいから教えろって!」


 まさかの答えに僕は思わず大声で語気を荒げてしまった。

 確かにそう言っていた気がするけどさ。今さらそんなのってないだろっ!


「あ~どうすっかな。なんかオークのくせに態度が偉そうでムカつくな」


 腕輪の本体部分である赤い宝石を点滅させるエクス。背に腹は代えられないと渋々僕は頭を下げるも、エクスは全く取り合おうとしなかった。


「ぐっ、ぐぬぬ、――どうか僕に強くなる方法を教えてください」

「あれ? 俺様の耳が遠くなったのか急に聞き取りづらくなったぞ?」

 

 こいつのこの態度から何を求められているのかを悟る。

 僕は左腕を前方上に掲げ地面に土下座をしてお願いをする。

 元の身体に戻れるかもしれないんだ。僕のちっぽけなプライドなんてどうでもいい。


「エクス様、どうかお願いします。僕に強くなる方法と元の姿に戻るためにはどうしたいいか教えてください!」


 もうこれで駄目だったら僕はマジギレする。

 どうにかして左腕から引き剥がしてスクラップにしてやる。

 そもそもエクスは僕のサポートアイテムとして与えられたはずなんだけどな。

 何で僕が頭を下げてまで教えてもらえるようお願いしてるんだろ。

 どこか釈然としない気持ちでエクスの返答を待っていると、


「ブハハハハハ! いいぜ! 教えてやるよ。ただし、二つほど条件がある」


 僕は土下座の態勢のまま顔だけを起こしてエクスを見る。


「条件?」

「ああ、そうだ。一つは俺様に従え。俺様が指示したことに逆らうな。お前みたいなクソ雑魚豚野郎が強くなるにはそのぐらい必要だ」


 それを聞いて僕は「分かった。でも、エクスの命令が誰かに酷いことをしろとかだったら従えない」と言う。

 エクスは「あ? そんなことはどうでもいい。俺様が言ってるのは強くなるために必要なことを拒否すること、魔物との戦闘時の指示には従えってことだ」とぶっきらぼうに言い放つ。


「それならいいよ。僕も生半可なことじゃ無理だって自覚してるから。それで、もう一つの条件は?」


 どんな無理難題を突き付けられるか内心ビクビクしながら訊ねる。

 しかし、エクスは「…………今のお前に話したって意味がねぇ。そうだな…お前があの女たちよりも強くなったときに話してやるよ」と言って答えをはぐらかした。


「何だよもう、すっごい気になる言い回しするなよ」

「うるせぇぞ。雑魚は黙ってろカス」


 お、おお、シンプルな暴言がきた。

 まぁいいや、これでエクスの協力は取り付けたし。

 もう一つの条件も強くなれば教えてくれるんだから今は考えないでおこう。

 

「まぁいいや。それで、僕が強くなるにはどうしたらいいの?」


 僕は立ち上がって槍を構え、何もない空中に向かって一回、二回と突く動作をする。

 こんなことを言うのもあれだが少しワクワクしてる。

 漫画とかである修行パートってやつに憧れていたんだよね。

 フフフ、これで僕も特別な力を手に入れて魔物相手に無双しちゃったりして。

 

「何をニヤけてんだよ気持ちわりぃ。説明する前に早くここから移動するぞ」


 ぐっ、コイツはいちいち悪口を言わないと気が済まないのか。


「移動するってどこに? ここでするんじゃないの?」

「馬鹿かお前は? ここで修行でもしたらすぐにあの女どもにバレてお陀仏だろうが。移動先は第一階層だ。とっとと動け」


 第一階層? それを聞いて僕は何でだろうと疑問が浮かんだ。

 エクスのことだから何か理由があるんだろうけど、問題は……。


「それって第五階層を通らないといけないよね?」

「ああ、だから今すぐに移動する。あの女も街の連中もまさかお前が戻ってきて第四階層へ行こうとは思わねぇだろ」


 なるほど確かにそうかも。それに時間が経てばたつほど警戒されて見つかる可能性が高くなる。


「でも、危険じゃない?」

「まぁな。だが、第五階層で出待ちされてなければ問題はねぇ。そこさえ通り抜ければ俺様が安全なルートをナビゲートしてやるよ」


 だ、大丈夫かな。ちょっと……いや、かなり心配なんだけど。ま、どのみち行くしかないか。


「よし! それなら案内を頼むよエクス」

 

 エクスのナビゲートに少々不安を抱きつつ、僕は安全地帯(セーフティポイント)から移動し、死者の迷宮第一階層へと向かった。

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