第3話 再び通信

「モシモシー、キコエマスカー?」

「あっ、しゃべった。」

「イヤー、ヨウヤク、ツウジタ」

「うわ、やっぱり幻聴じゃないんだ。今までどうして話さなかったの?」

「タイミング、アワセルノ、ナカナカ、ムズカシイカラ。」


 変なぬいぐるみを押しつけられてから、もう4日たっていた。

 捨てるに捨てられず持ち続けて、いつ喋りだすかとドキドキしていた。ちょっと楽しみにしていた部分もあったかも。変わらない日常の中で刺激が与えられたというか。

 そんなドキドキの4日間を過ごして、もう待つことにくたびれてきた今日、部屋でボーッとしていたら話しだした。


「イヤー、タイヘンダッタ。コンナカンジデ、コノツウシンハ、フアンテイナノデ、SNS、ツカッテクダサイ。」

「そうなの、わりかし現実的だね。」

「コノヌイグルミ、ホンヤサンノ、キャラクターデス。」

「うん、この間キャラクターの名前聞いたから調べた。R.B.ブッコローだね。」

「コノホンヤサンノTwitterカラ、ワレワレナカマ、ツナガッテマス、ハイリカタハ、、、、」

「待って、メモする。」

「チナミニ、ナカマノコトハ、ユーリンチー、トイッテマス。」

「わかった。とりあえずそこ見てみる。」

「ボクハ、ハンドルネーム、ナカノヒト。キミハ、ソウダナァ、トートーデ!」

「はぁー⁉︎ ありえない!」

「ジャア、ヨロシクー。」


 あっ、話切れた。私のハンドルネームひどくない?しかも私を見つけた人、私の能力見抜いていたんだ。中の人にバレてるし。


 私の場合、特殊能力持っていると言ったって本当に些細な能力だから。しかもひたすら隠している。親にも友達にも言えない。中途半端な能力の持ち主は、皆隠して普通に生きようとしているんじゃないかな。微妙に普通じゃない分、かえって普通にしようとしている。

 もしかしたら世界中全員皆何かしら能力があって、それをバレないようにひたすら隠しているんじゃないかな。だから皆孤独で寂しいんだよ、きっと。

 

 SNSをのぞいてみた。初見の感想は、割と普通、かな。

 ハンドルネームはいろいろあった。

「中の人」「色さん」はあの2人として。「マニケラ」「ワクワク」は一体どんな能力なのよ?「トートー」になっちゃった私も相当怪しいけれど。

会話を読む限り、ごく普通の仲良しグループって感じ。飲み会企画とか、恋バナとか。中の人は恋バナに積極的だなぁ。どうしたものか。

"ゆーりんちー"なるグループは謎だらけだ。でも、悪い気はしないな。なんだか楽しそうな雰囲気だし。

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