第2話 衝撃
変なマスコットに変なビジョン、疲れて死にそうな私。はやく家に帰ってご飯食べてシャワー浴びて横になりたい。
電車を降りて私は急いで20分歩く。一人暮らしの派遣労働者が駅近のマンションに住める程現実は甘くない。
「ただいまー。」
一人なのに声に出してしまうのは最近の癖。歳とったかも。疲れた。あまりに疲れすぎて買い物も忘れた。とりあえずカップ麺だ。
「オッカレサマー」
え、どうした⁉︎
幻聴⁉︎ 病状進行⁉︎
「え、、え、、えー?」
「オッカレサマー、ワタクシ、R.B.ブッコローキーチェーンツキヌイグルミ、ゼイコミ980円ヲヨリシロニ、シテイルモノデス。ハジメマシテ。」
「うわー、喋った。これ本当に中に何か仕込まれてる、危険物じゃん!」
「ヤメテ、ヤカン アブナイ‼︎アナタトオナジ、コレ、トクシュノウリョク、ダカラ!」
「え?特殊能力?」
「ソウデス。ヤメテ、フライパン、タタクノ、ホントヤメテ、ハナシヲ、キイテ!」
「何で私のこと知ってるの?目的何なの?訳わからない。」
「 ワタシ、ヌイグルミヲ、トオシテ、カイワガデキマス。」
「え、怖っ!」
「 ホウチョウ、ヤメテ、アブナイ!
ハナシヲ、キイテ!」
「何、何?どうして私のことわかったの?あのマスコット渡してきた男も仲間?信じられない。」
「マァ、オドロクノモ、ムリハナイデス。
ナカマニ、ノウリョクモツヒトガ ワカルヒト、イマス。
レンアイハ、ウスイピンク。
オカネハ、ウスイキンイロ。
アナタハ、ウスイミズイロ。
タイジンカンケイノ、ノウリョクデスネ。」
「そんな女性雑誌の占いみたいなふんわりした能力で私が見つかったの?」
「"ウスイ“トイウノガ、ポイントデス。マジ・ガチノヒトハ、ノウリョクガツヨクテ、マックロニミエルソウデス。マックロハ、コワイノデ、チカヨラナイ。」
「私なんて、本当たいしたことないし、だいたい声かけてどうするの?私は誰にも知られず静かに暮らしたいんですけど。」
「ナカマガイルト、タノシイヨー。ア、ソロソロ、ノウリョク、キレル。コレ、イチニチ3プンシカ、ツカエナイカラー。」
「中途半端!微妙すぎない?え、本当に、どういうこと?」
というか、もうタイムアウトか。ぬいぐるみを振り回してもグニグニしても喋らない。それにしても、"ウスイ”能力の持ち主皆で集まってどうするんだろう。
電車の中で私にビジョンを見せたのも誰かの能力なんだろうか?ぬいぐるみを渡してきた人も仲間?通勤途中の私を見つけた他人の能力が分かる人、ぬいぐるみから話しかけた人……何だか怖い。
私の能力なんて、恥ずかしい程些細だから、放っておいて欲しい。
というか、カップ麺、のびた。
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