第32話 でーと?

 自分の体を洗って、佳代を呼ぶ。

 また湯船から、頭だけ出してトリートメントを流していく。

 こすらず、軽く叩くようにながす。


 僕も、湯船につかると脇に二人が来るが、すでに美樹はゆでだこ状態。

「美樹はもう、のぼせそうだから出た方が良いよ」

「うーでも、私が出たら二人がいちゃつきそう」

 美樹がそう言うと、僕の右側でバシャッと音がする。

 佳代の行動を読まれ驚いたようだ。


 じゃあちょっと湯船から出て、ちょっと待って。

 そう言うと、素直に出て行くが体がかなり赤くなっている。

「やっぱり。早く出て、保湿をしないとだめだよ」

「うー」


「分かった。出よう」

 そう言ってそろって出る。

 ねだられて、結局2人に保湿クリームを塗り込み、頭皮につけないように、髪にアウトバストリートメントを手のひらでよく伸ばしてから髪になじませ塗り込んで、乾燥させていく。


 ただし、保湿クリーム塗り込みで、すでに、二人の瞳がうるうる状態。


 まあそうなるよね。

 ベッドに、引っ張り込まれる。

 それでも、スポーツ飲料は飲ませた。


 朝になり、けだるい体を起こして、顔を洗い。

 コーヒーを入れる。

 それを飲みながら、今日の予定を幾種類か考えてみる。


 朝食がてら、どこかの店で予定を決めるが、最低限方向性は決めよう。

 好みのものがあれは、映画でも良いし。

 後は買い物? ボーリングなどは僕たちはもうできないし、バッティングセンターもだめだ。当然ゴルフも。打ちっぱなしでデートは、どうかとも思うが。



 スポーツは、道具が耐えられず、そればかりを気にする事になってしまう。

 水族館とかも良いなあ。

 そんな、まとまらない考えをしていると、佳代がむくっと上半身を起こす。

 そしてクンクンと、匂いを嗅ぎ、こっちへやってくる。


「おはよ。シャワーでも浴びる?」

「うん。でも、おはようのハグ」

 そう言って抱きついてくる。


 頭をそっとなで、

「行っておいで」

 と言うと、こくっと頷いて。浴室へ向かう。


 少しして、佳代が体を拭きながらやってくる。髪の毛も濡れ、ボテボテ滴を落としながら。

 あわてて佳代を捕まえ、浴室へ連れ戻し、体を拭きクリーム塗り込み、髪を乾かし、トリートメント。


 一連の作業を終了して戻ってくる。


「美樹。おきな」

 そんな声が聞こえて、ベッドの方を見ると、美樹の額をペしペししながら、佳代が起こしているが起きない。

 美樹が起きない事を確認すると、佳代がベッドへ上がり、脇腹を思いっきりくすぐる。

 美樹は寝返りを打つと、くるっと丸まる。


 しばらく、色々な所をくすぐっていたが、わしっと胸をつかみ。もぎゅもぎゅと揉み出す。

 くすぐっても平気だったのに、丸まっていたのが仰向けになり、佳代の手をつかみ右胸から左胸に移す。

 僕は見ながら、どういう反応なんだと、ちょっと興味がわいた。


 佳代の顔はちょっとむっとして、両胸を揉み出す。

 するとくねくねと美樹の体全体が動き出し、フッと目が開く。


 そして、胸を揉んでいるのが、佳代だと分かると、そっと手をつかんでぽいっと脇になげ、僕を見る。

 にへっと、顔が笑い。

 起き上がって、こちらへやってくる。

 そして、抱きつき。少しすると満足したのか離れて、僕の手を引く。

「続き、もっと」

 そう言って、ベッドへ引っ張り込まれた。


 当然、佳代も参戦。


 気がつけば、昼。


 これはこれで楽しいが、何だかなぁ。

 少し前からの事を、考えれば贅沢すぎる。

 そんな事は理解できるが、長年ある程度、自分だけの予定を組み、それに従って行動をしていた身には、予定外の行動がちょっと引っかかる。


 未だ横で、幸せそうに寝ているし。

 美樹は、休日寝る派なんだろうか?


 また、佳代が先に起きる。


 再び、僕はコーヒーを入れ、佳代はミルクたっぷりめの紅茶を飲む。

「いい加減おなかすいた」

 佳代が文句を言う。

「いつもこんな感じ?」

「朝はね。さすがに今日のは予想外。まさか、朝からするとは思わなかった」

 そう言って、佳代の眉間にしわが寄る。


 僕はそのしわに、指を這わせ伸ばす。

「あまり、しわを寄せると、癖が付くよ」

 そう言うと、なぜか僕の手を取り、頬ずりをした後、指をパクッとくわえる。

 しばらく、もごもごした後、

「どう?」

 と聞いてくる。


 おもわず? 首を傾ける。

「今一だったか?」

 そんな訳の分からない言葉が、佳代から出る。


 今だに手を持ったまま、何かを考えている。


 すると、美樹がむっくと起き出し、僕たちの状態を見る。

 つかつかとやってきて、僕の手を取り、

「おいっ。まさか」

 ベッドへ、引っ張りこまれる。


「はぁっ」

 ため息をつきつつ、佳代も参戦。


 指をくわえていた理由が分かった。

「おなかがすいたから、栄養補給」

 そんな謎の言葉を吐きながら。


 僕もちょっと本気で責め立て、気がつけば夕方。


 ちょっと3人げっそりしながら、さすがに夕食を取りに出かけた。


 結局それだけで、1日は終わり2人の家へ転移する。

 僕が帰った後。


「一体、今日のは何だよ?」

 無論会話は、佳代と美樹。


「あれだけどっぷり相手にすれば、明日、相手にそんな気が起きないでしょう?」

 美樹は人差し指を立てながら、にへらと笑ってそう答える。

「それはそうだろうけど。将だから、今日普通にデートしても、心配しなくて良いと思うぞ。おまえが、したかっただけじゃないのか?」

 そう言うと、美樹の目が泳ぎ。

「お風呂行きまーす」

 と言って、逃げていった。


「まったく」

 佳代は座り込んで、ストロングのレモンを一気にあおる。

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