【episode.3】正樹side

---正樹side---

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「昨年の障害物競走に出てた田中さんの旦那さん、活躍しててかっこよかったよね〜

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あれで、奥さんも旦那さんのこと見直したって言ってたのよ、うちの旦那は運動全くできないから羨ましいわ〜」

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家の近くのスーパーで、息子と同じ小学校に通う子のママ友の会話が聞こえてきた。

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障害物競走、、

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俺も運動苦手だから妻にお願いしようと思っていたが、今の会話を聞いて気が変わった。

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1位になったら妻も俺のことを見直してくれるかもしれない。

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よし、今日から特訓だ。

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それから運動会の日まで、俺は早起きして仕事の前にランニング、仕事終わりには公園でトレーニングをした。

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学生時代に全く運動をしてないので、正直かなりしんどい。

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でも、どうしても妻に少しでもカッコ良いところを見せたい。

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その一心で俺は毎日トレーニングに打ち込んだ。

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体力もついてきて、足も速くなってきた。

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これならいけるぞ。

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いよいよ当日。

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俺の1ヶ月間の成果を見せる時がやってきた。

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絶対1位になってやる。

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笛の合図とともに、勢いよく走り出した。

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だが、気合いと緊張が空回りして何もない所でいきなりこけてしまった。

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急いで起き上がって走ったが、最下位でゴールした。

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結局妻に良いところは見せられなかった。

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むしろ逆効果だったかもしれない。

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へこみながら、妻の元へ戻った。

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妻はきっとこんな俺を見て幻滅しているはずだ。

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妻の顔が見れず水を飲んでごまかしていたが

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「正樹、ありがとっ!かっこよかったよ!」

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妻はとびきりの笑顔を向けてそう言ってくれた。

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、、頑張って出場して良かったな。

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大好きな妻の笑顔が見れて、嬉しかった運動会であった。

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#妻のために

#頑張る夫

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