第13話
2人に伝えていない思いがたくさんある。
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当然のようにまた会えると思っていたから
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伝えたいこと、話したいことが山ほどあるのに
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もう2人には永遠に会えないという現実を
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受け入れられるはずがなかった。
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今日の空はとても良く晴れていて
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空気も澄んでいた。
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僕がこんな現実を突きつけられているにも関わらず
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青空をバックに咲いている桜は
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時々、日差しに照らされてくしゃっと光り
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きらきらした姿で僕を見ている。
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こんな僕を見下ろして、何を思っているのだろう。
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そんな桜を下からじっと見つめ返す。
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また涙が溢れ出した。
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時々冷たい風に吹かれながらも
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凛と咲いている桜は
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とても綺麗で
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悲しかった。
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僕は東京へ戻った。
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寮の入り口で待っていたのは侑斗だった。
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「おかえり」
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僕の顔を見るなり、それだけ言った。
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「ただいま」
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それからの僕は食べ物を体にいれることに精一杯だった。
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両親がいなくなったこの世界で、息をして生きる事にただ必死だった。
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こんな思いをしているのは僕だけじゃない。
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他にも大切な人を亡くしてボロボロになっている人は沢山いる。
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そう言い聞かせて自分を励ましながら生きていた。
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それに、今回の落下で予測されていた全ての隕石が落下した。
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もう隕石に怯える生活は終わったんだ。
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少しずつ元の生活に戻っていける。
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僕も、日本中も、世界中の人々が希望を持って前に進もうとしていた。
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しかし、何度僕たちの心をえぐれば気が済むのだろう。
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耳を疑うニュースが入ってきた。
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「福岡県に落下した隕石は想定外の隕石」
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なんと、当初予定していた隕石とは別のものだというのだ。
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つまり、隕石は
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まだ
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あと1つ、落ちてくる。
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