第12話
ゆっくりとリストの前に近づく。
.
.
.
.
.
.
.
見たくない。
.
.
.
.
.
.
でも、見なければいけないような気がした。
.
.
.
.
.
.
.
.
無意識に足が動いていた。
.
.
.
.
.
.
.
.
.
リストの前に行き、上から順に両親の名前を探す。
.
.
.
.
.
.
.
.
.
最後の方に
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
父親と母親の2人の名前があった。
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
目の前が真っ白になり、体中の全ての臓器が止まったような感覚がはしった。
.
.
.
.
.
.
.
そこから先のことは覚えていない。
.
.
.
.
.
.
.
気がつくと病院の外をふらふらと歩いていた。
.
.
.
.
.
.
.
.
歩き続けたまま、どのくらいの時間が経ったのだろう。
.
.
.
.
.
.
.
.
ふと顔を上げた。
.
.
.
.
.
.
.
.
.
桜の木があり、満開の桜が咲いていた。
.
.
.
.
.
.
.
.
.
---------
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
母親「ここ何年か家族で出かけていないから、あなたが東京に行く前にみんなで花見でもしない?」
.
.
.
.
.
.
母親が花見の提案をしてきた。
.
.
.
.
.
確かに、僕がテニスを始めてからテニス着けの日々で家族で出かけていない。物心着いてから両親と旅行にも行ったことがない。
.
.
.
.
.
「いいね、花見、行こうか。」
.
.
.
.
花見スポットとして有名な公園が家の近くにあったのだが、行った事がなかったのでそこに3人で行くことにした。
.
.
.
.
.
レジャーシートと、料理嫌いな母親がはりきって作ったお弁当を持って行った。
.
.
.
.
.
レジャーシートの上に3人でちょこんと座り、お弁当を食べた。
.
.
.
.
.
.
.
この時の花見が、家族で出かけた最初で最後の時間となった。
.
.
.
.
.
.
.
桜の木を見つけて、その時の思い出が一気に蘇ってきて
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
ようやく、僕の目から涙が溢れ出した。
.
.
.
.
.
.
.
.
ウワァァァーーー!!!!
.
.
.
.
.
.
.
.
.
その場に崩れ落ちて
.
.
.
.
.
.
.
.
.
泣き叫んだ。
.
.
.
.
.
.
.
.
最愛の父親と母親が、隕石に奪われた。
.
.
.
.
.
.
.
.
両親とのこんな別れを、誰が想像しただろう。
.
.
.
.
.
最期の時は、2人は一緒にいたのだろうか。
.
.
.
.
.
.
.
.
.
最期に2人は、何を思ったのだろうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます