第10話
メールの最後には、保険会社との契約内容や銀行口座の番号が淡々と書かれていた。
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そして「あなたが将来プロテニスプレーヤーとして活躍できるようにずっと応援してるね。その姿は見られないかもしれなくてすごく悔しいけど、あなたは隕石から逃げ切った世界で幸せになりなさいよ。」
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こう締められてメールは終わっていた。
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違う、僕が欲しかったメールはこんな事じゃない。
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無事に避難できたという連絡を待っているのに
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こんな連絡、嬉しくない!
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慌てて電話をかけるが、電話は繋がらない。
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メールの返信も届かない。
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まだ3時間ある。
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絶対に助かるはず、助かってくれと僕は祈るしかなかった。
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テレビには上空から撮影されている九州の映像が流れている。
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落下時刻は刻々と迫り
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落下15分前
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5分前
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1分前
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10秒前
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3、2、1
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ドーーーーン!!
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両親から返事がないまま、福岡に隕石が落ちた。
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落下直後の映像には、ルワンダの時と同じような光景が広がっていた。
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頭が真っ白になり、震えがとまらない。
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お父さん!!
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お母さん!!!
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頭がどうにかなりそうだった。
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僕の横にはずっと侑斗がいてくれて、パニックになっている僕を懸命になだめている。
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まさか自分の故郷がこんな姿になるなんて到底受け入れられるはずもなく、これは夢じゃないかと何度も考えた。
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生まれてからずっと住んでいた家も、毎日通ったテニスクラブも、僕を育ててくれたものは跡形もなく全て消えた。
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僕のふるさとは一瞬にして死の街となった。
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突然の日本への隕石落下は、世界中でも大きなニュースとなった。
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「戦争のない平和な国日本は、隕石落下により死の国となった」
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海外ではこんな見出しのニュースが報道された。
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今回の隕石落下は、日本にとっても世界にとっても、歴史上で最も大きな災害となった。
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