第7話

世界中の研究チームは、落下地点を事前に判別することができるように、より一層システムの研究に勤しむと同時に、隕石の軌道を変更できるよう急速に実験を繰り返した。

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日本では、行政や建設会社が地下室の建設ペースをあげたが、ルワンダの被害を見た私たちは、同じ大きさの隕石が落ちてくれば地下室ごと吹き飛ばされることは誰もが想像できた。

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しかし、あの様子を見たからこそ、何もせずにはいられなかったのだ。

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対策を取ることで、少しでも自分たちの心を安心させようとしていた。

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いつでもすぐに避難できるように、国民一人一人が防災鞄を持ち歩くことが根付いた。

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持ち運びに便利な軽量化されたものや、ファッションに合わせた色や形の違う幅広いデザインのものが販売され、リュックは爆発的売れ行きとなった。

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僕も当然、以前から順番していたものを肌身離さず持ち歩きながら、テニスの練習には今まで通りに励んだ。

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ルワンダに隕石が落下してから1ヶ月後、またしてもテレビ番組がいっせいに切り替わり、そこにはまたアメリカの研究チームの姿があった。

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再び緊急発表が行われるようだった。

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画面に映し出された人たちの重苦しい表情に、次はどんな現実を聞かされるのか胸がバクバクし始めた。

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研究チームの1人が話し始めた。

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「世界中の国の皆さまにお伝えしなければならない事があります。

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地球周辺に散らばっている隕石の、残りの数が判明しました。

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残る隕石は、あと、3つ。

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我々は、あと3回、隕石から逃げきらなければなりません。

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そして、次の落下地点もが予測できました。

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次の落下地点は、チュニジア。

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落下は、2週間後。

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隕石の大きさは約20m。

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チュニジアにお住まいの方、そして周辺国の方は早急に避難をお願いします。」

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テレビにはすぐさまチュニジアやヨーロッパ各国の様子が映し出される。

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既にチュニジア国内はパニックを起こし、我先に国外へ逃げるんだと人混みを押し合いながら走る人々の姿が映っていた。

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