第6話

ドーーーーーン!!!!!

.

.

.

今まで聞いたことのない鉛のような重くて大きな音が聞こえる。

.

.

.

画面が激しく乱れた。

.

.

.

瞬く間に激しく火花が光り、黒煙があがる。

.

.

.

煙は一瞬のうちに巨大化し、積乱雲のように上空を覆い尽くした。

.

.

.

まるでドラマのワンシーンを見ているようだった。

.

.

.

2〜3分続いた爆音がようやく鳴り止んだが

.

.

.

街の様子なんて分かるはずがないほど、煙が画面を覆っている。

.

.

.

とてもこの世で起きたとは思えない映像を見て、僕は恐怖のあまり全身の震えがとまらなかった。

.

.

.

「テレビ、みてる?」

.

.

.

すぐに電話をくれた侑斗の声も震えていた。

.

.

.

「ああ、まさか、本当に落ちるなんてな。」

.

.

.

あまりのショックな映像に、僕たちは言葉が出なかった。

.

.

.

.

.

.

.

数日後に煙が消火されたルワンダの街の様子が、放送された。

.

.

.

.

その様子を見て僕はまた息をのんだ。

.

.

.

何日か前まであった建物も、人々が住んでいた家も消えて、そこが道路だったのか、山だったのかさえも、わからない。

.

.

.

何も識別できなくなっていた。

.

.

.

そこに残っているのは、数センチほどかすかに立ち昇っている煙くらいだ。

.

.

.

辺り一面に焼け野原が広がっている。

.

.

.

跡形もなくというのはこういうことを言うのだろう。

.

.

.

.

.

.

.

.

自然の力は怖い。

.

.

.

.

.

.

そうよく聞いていたけれど

.

.

.

.

.

.

本当の怖さなんて、人間は分かっていなかったのだと、この時ようやく気がついた。

.

.

.

.

.

.

この日以降、僕たちは隕石におびえる生活を送ることとなった。

.

.

.

.

.

.

.

ようやく感染症が収まってきた矢先に、次は隕石に襲われる試練の連続だった。

.

.

.

.

.

.

.

人間は試されていたのだろう。

.

.

.

.

.

.

.

この局面をどうやって乗り越えるのか

.

.

.

.

.

.

.

.

.

人間の知恵は、自然の脅威や、ウイルスと闘う為のものであり、争うために授けられたものではないのだと

.

.

.

.

.

.

.

.

.人間同士で争っている場合ではないと、気づく事ができるのか

.

.

.

.

.

.

.

.

試されていたのだろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る