第5話
「テニスの調子はどう??お金なら沢山送るから、栄養あるものをしっかり食べてね。体作りも大事なトレーニングでしょ。」
.
.
.
母親は僕と話す度にそう言ってくれる。
.
.
.
母親が僕に仕送りをする為に内緒で仕事を増やした事を僕は知っている。
.
.
.
そんな母親に恩返しするためにも、日本一になるというのが僕のモチベーションだ。
.
.
.
「この4年間はお前の人生にとって大事な4年間だからな。しっかり頑張れ。今年も応援に行くぞ。」
.
.
.
ぶっきらぼうだが、誰よりも僕のことを応援してくれる父親。仕事の休みがとれれば東京まで僕の試合を見に来てくれる。
.
.
.
両親2人からの期待を裏切るわけにはいかないと、餅を口いっぱいに頬張りながら大学日本一への決意を改めて固めた。
.
.
.
例年と変わらぬ正月だった。
.
.
.
変わったことと言えば隕石の話題が上がったことだ。
念の為落下に備えるようにと両親から言われたが、既に防災鞄は用意しているとの僕の言葉を聞いて安心した様子だった。
.
.
.
僕からもいざという時に備えて準備をしておくようにと両親に口を酸っぱくして伝えた。
.
.
.
あの会見が開かれた日から特に何も起きず、やはり隕石落下なんてあり得ないことなんじゃないかと思い始めていた。
.
.
.
.
年が明け、三が日を実家で過ごして僕は東京に戻った。
.
.
.
.
その直後の1月5日のことだった。
.
.
.
.
.
携帯のニュース速報に
.
.
.
.
「アフリカに巨大隕石落下」
.
.
.
.
との文字が入ってきた。
.
.
.
.
記事には現時点での被害は1000人以上とされると書いてある。
.
.
.
.
慌ててテレビをつけた。
.
.
.
全てのチャンネルが一斉に隕石落下のニュースに切り替わった。
.
.
.
今入ってきている情報によると
落下地点は、ルワンダ。
.
.
.
隕石の大きさは、約15m。
.
.
.
落下直前に接近を感知したが、手遅れであり多くの人々が逃げ遅れたというのだ。
.
.
.
.
.
隕石接近は早めに感知できるんじゃなかったのか?!
.
.
.
予測できないなら、避難できないじゃないか?!
.
.
.
しばらくして、落下時のルワンダの映像が放送されたのだがそれを見て僕は震えがとまらなくなった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます