扉を開けるなりいきなり喋り出したのは侑斗だ。

僕たちは同じ寮に住んでいて、部屋も隣同士なのでよくお互いの部屋を行き来している。

「会見、見たか？！」

「見た見た、、隕石落下による地球滅亡が、現実に起こり得る事態になったんだ、、」

いつも冷静な侑斗もさすがにこの事態に戸惑っていた。

しかし世間の反応は、僕たちの反応とは違い、楽観的だった。

どうせ隕石なんて落ちてこない。

現代の技術があれば、地球に当たらないように軌道を変更することができる。と言う意見が多く、僕達のように危機感を感じている人は少なかった。

情報番組に出演しているコメンテーターも、皆口を揃えて、落下の危険性は極めて低く、接近したとしても早い段階で予測ができるのでそれ程不安に感じる必要はないと話している。

仮に落下するとしても、日本へ落下する確率もかなり低いようだ。

世間がそんな反応の中で一般市民の僕にできることはなく、これまでと変わらぬ日常を送るしかなかった。

部活もいつも通り行われた。

8時間のハードな部活が終わった後、どうしても隕石落下が本当に起こる気がしてならない僕と侑斗は、自分達にできる事は何か考えた。

大地震に備えて作っていた防災鞄を2人で持ち寄り、中身を見直して、僕たちはそれをいつでも持ち歩くことにした。

また、部活中に隕石落下の速報が入ってきた場合はどこに逃げようか、避難場所までの経路を確認して、実際に2人で歩いて回ったりもした。

侑斗が一緒にいてくれて本当に良かった。

侑斗が一緒にいてくれることのありがたみを、つくづく感じた。

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時間はあっという間に流れ、大晦日がやってきた。

年末年始は部活も休みの為、侑斗は石川県の実家に、僕は福岡の実家に帰省して両親と毎年恒例のお雑煮を食べた。

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