第2話

アナウンサーの声「速報です。隕石が見つかりました。

先日三重県で見つかった直径約50ほどの岩が、鑑定の結果、隕石であるとの情報が入ってきました。」

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隕石か、、

確か何年か前にもそんなニュースがあったような、、

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そんな程度にしか思わず、僕はいつものように急ぎ足で部活へ向かった。

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しばらくは各局のテレビ番組で隕石発見の話題が取り上げられたが、話題の旬とは一瞬なもので、すぐに次の話題にかき消されて

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隕石のことなんて世間から忘れられていった。

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だが、その2ヶ月後

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夜の情報番組の途中にまたしてもニュース速報が入った。

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アナウンサーの声「再び隕石が発見されました。発見場所は埼玉県、大きさは直径約50センチ。専門家による詳しい鑑定が進められています。」

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2ヶ月という短い期間に2つの隕石が発見されたことから、ネット上では様々な憶測が生まれた。

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どこかの星が爆発しこれから大量の隕石が落ちてくるのではないか

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日本は隕石によって沈んでいき

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やがて地球は粉々になり滅亡する、など

地球滅亡論が騒がれた。

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snsの投稿には、身の回りに落ちている岩の写真を撮り、「#隕石」を付けてアップする若者が増えた。

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次の日いつものように部活に行くと、チームメイトとも隕石の話題になった。

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侑斗「また隕石が見つかったらしいじゃん、隕石って見つけたらお金とかもらえるのかな?」

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練習が始まる前、ウォーミングアップ中に楽しそうに話しかけてきたのは侑斗。

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インターハイの決勝戦を戦ったのはこの侑斗だ。僕たちは同じ大学に進学して、チームメイトとなった。

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明るくてサバサバした性格で、少々ナルシストな所はあるがテニスの実力は相変わらずピカイチだ。僕の1番のライバルでもあり、気の合う親友でもある。

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僕「どうだろうな、でもただの岩と隕石の見分け方って分からなくない?」

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侑斗「確かにそうだな、おっ、この石なんて隕石っぽくないか?」

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そう言いながら彼は周囲に落ちている小さな石を次から次へと軽快なステップで拾い集めながら、そのまま向こうへ走って行った。

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楽しそうな侑斗の背中を見て、あいつのいつも陽気な性格には色々と救われてるんだよなあと思いながらも

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テニスでは大学でも必ずあいつに勝つんだと、心の中で静かに闘志を燃やし、僕はその日も練習を始めた。

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2度目の隕石ブームもそろそろ落ち着き、秋が終わろうとしていた頃だった。

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ある朝、大学へ向かう準備をしていた時、テレビから僕の耳に衝撃的なニュースが入ってきた。

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アナウンサーの声

「インドで、落下してきた隕石に当たり、30代男性が死亡しました。

すぐに病院に搬送されましたが、間もなく死亡が確認されたようです。繰り返しますーーー」

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隕石が落下?!

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死亡、、?!

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テレビの前で唖然としていた時、携帯が鳴った。

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「ニュース見たか?!隕石が直撃ってやばくないか?!」

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電話の向こうで侑斗もかなり驚いている様子だ。

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「僕もびっくりしたよ!これってもしかしたら、インドじゃなくて日本に落ちていた可能性もあったってことだよな?!」

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「そうだよな!現に日本でも隕石が見つかっていたし、これからまだ落ちてくるんじゃないか?!」

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僕達は不安を共有するようにしばらく会話していた。

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何かあった時、侑斗と話すと冷静でいられる。

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気づけば授業へ行く時間になっていたので、慌てて電話を切り、僕たちは急いで大学へ向かった。

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さらにこのニュースから1ヶ月後の12月。

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年末になり世の中が騒がしく動き、外は雪が降っていた頃

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日本中、いや、世界中を震撼させる報道がテレビに流れた。

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