五 筋違橋にて(二)

 翌日。

 真島家にほど近いすばるまちの電停上に、啓一の姿を見出すことが出来る。

『まもなく十八番、白鳥今しらとりいままち行が到着します』

「こいつは飛ばす、と。十七番だ、十七番」

 そう言うと、空中ディスプレイではなく紙の路線図を広げて経由地を確認し、

「しかし何だな、こんな系統があったとはな」

 なぞってひとりごちた。

「起点はまるで違うが、終点はほぼ同じ雰囲気。系統番号まで『十七番』で一緒ってのは、何か因縁めいたものを感じるな、うん」

 これから啓一は、所内報の連載小説の取材をするため市電で市内へと向かおうとしている。

 実は昨夜、寝る前に頭ををしぼって何とか案を練ろうとした。

 これがどうにも大変な話である。この世界に徐々に慣れては来ているものの、小説を書くほどの知識があるかというと、かなり怪しいのだ。

 完全に困り果て、すがるように交通局の電車路線図を開いた時である。

「……ん?」

 その眼が、一つの系統に止まった。

「十七番って、こんな妙なところで終わるのか」

 そこには六郷前から中心部を経由した後、一本だけ隣の道にずれて走り、「筋違橋すじかいばし」という歓楽街の電停でいきなり別の系統の横腹にぶつかって終わる系統が書かれている。

 この系統に、啓一はあるものとの類似を見た。都電十七系統である。

 実は啓一には、古いものがとにかく好きという側面があった。

 そのため東京など大都市の古い街並みにも興味を持ち、本をあさって関係資料である都電の写真集にも手を出していたのである。

 この時妙に印象に残ったのが、この十七番であった。

 経路は池袋駅前〜後楽園〜水道橋〜神保町〜一ツ橋〜新常盤橋〜東京駅八重洲口〜数寄屋橋で、神保町から先が単独で特殊な経路を取っている。そして、数寄屋橋で別の系統に横っ腹からどんとぶつかって終わるのだ。

 池袋駅前から出る唯一の系統であるばかりでなく、後楽園や神保町といった著名な街や東京駅八重洲口という交通の要衝まで通って、最後でいきなりぷつりなのである。記憶に残らぬ方がむしろおかしいというのが啓一の言い分だ。

 奇しくもここの市電の十七番も、最後の方がこれに似た特異な経路を取っている。これに興味を持ち、天秤区から行けるのをいいことに乗ってみることにしたのだ。

『十七番、堀川ほりかわどおり経由、筋違橋すじかいばし行です』

 滑り込んで来た電車に乗ると、すぐに発車である。後がつまっているのだ。

『次は鍛冶通二丁目、鍛冶通二丁目……』

 地図によると、ここから四つ先の新星橋しんせいばし電停から中央区に入る。新星橋は、どうやら東京の日本橋に相当する橋らしかった。

(電車がうじゃうじゃ集まって来たな)

 新星橋から先、電車は「新星大通り」と呼ばれる大通りに入る。

 ここはやたらに経由する系統が多く、一気に電車がなだれ込んで来るのだ。

『次はとおりさんちょう、通三丁目。以下の系統お乗り換えです。経由地にご注意ください。一・五・八・十二・十三番新星空港行……』

 我々の世界の都電にもあった電停名の後に、実に十八もの系統が乗り換えとして案内される。市電の路線網は、この通三丁目電停を中心に出来ているのだ。

 扉が開いた途端、乗客の入れ替えが一気に起こる。心なしか、車内が空いたようだ。

 発車後、いきなり電車は交叉点を右に曲がる。追従する電車はなく、後ろでそろって直進・左折して行った。ここが、唯一十七番のみが通る経路である。

 この先大きな川に突き当ったところで橋の西詰を左折し、一気に進み始めた。橋ごとに交叉点があるため、電停名は「橋」が続く。これらの橋の名前は、一部を除きかつてあった外堀に架かっていた橋の名前を移して来たようで、呉服橋、鍛冶橋と聞いたような名前の電停ばかりだ。

『次は有楽橋、有楽橋です』

(そういや、あいさんがいなくなったってのはここの電停だったか)

 サツキの話を思い出し思わず周囲を見回すが、右手は相変わらず川、左手は瀟洒なオフィスビルが並んでいるだけで特に何もない。

 会社がはねると思われる夜には、川向こうの歓楽街に行くくらいしかない場所だ。

 そう考えているうちに電車は大きな橋の袂に出ると、一気に平面交叉で橋を直進する軌道をまたぎ、終点の筋違橋電停に到着する。

 降りて観察してみると、まさに両者の軌道はただ交叉しているだけでつながってもいなかった。つまり、ここだけぽつりと隅に取り残されているのである。

「……うわあ、都電の方の十七番の数寄屋橋電停まんまだわ」

 啓一としては余りにそっくりすぎて、驚きを禁じ得なかった。

 都電の方の十七番はかつて新橋駅まで伸びていたのを切り捨てたがために、平面交叉の向こうで終点となっていたのだが、こちらはどういう理由なのだろう。

 先を見るとオフィス街から変わって小さなバーなどが立ち並んでいる辺り、やはり数寄屋橋の周辺をきれいにコピーしているようだ。

 電車が折り返したところで、電停名の由来でもある筋違橋へ出てみる。流れでいうと、これが東京の数寄屋橋に相当する橋になるはずだ。

「うーん、まんま大昔の数寄屋橋だな、こいつは」

 鉄道高架や首都高速はないし、川も埋め立てられず現役のためかなり印象が異なるが、古写真にある数寄屋橋そのままの姿がそこにある。

「多分、あっちが有楽町のコピーだな。ちょっと行ってみるか」

 そして、橋を半分ほど渡りかけた時だ。

ももさんって、ほんとに巫女服や神職装束以外の和服着ませんね」

 にわかに女性の声が聞こえて来る。

 ひょいとそちらを見ると、青い着物を着た長い黒髪の人間の女性と黒いスーツを着た銀髪で短い外はね髪の人間の女性が、欄干おばしまに寄りかかって話していた。

「そりゃそうだ、きちんと着付けしたのなんてきつくて着られるかよ。別にいつも和服じゃなけりゃいけないって決まりはないんだぜ。みずがきっちりしすぎなんだよ」

「いけませんよ。巫女たるもの、神職たるもの……」

「ああもう、またお説教が始まったよ。新星に来てまでいいっての!」

 「瑞香」と呼ばれた女性はまじめでしっかり者、「百枝」と呼ばれた女性はそれとは真逆に伝法で鉄火というところか。

 何とも凸凹としたコンビと思っているうちに二人は欄干おばしまを離れて歩き始め、啓一とすれ違った。

「……ん?」

 その瞬間、ぱさりと何かが落ちる。見れば、

「新星空港→緑ヶ丘空港」

 と印刷された切符であった。この分だと、宇宙船のものだろう。

「あ、すみません。これ、落とされましたよ」

 どっちが落としたものか分からないが、とりあえず追い駆けて行って渡した。

「え、あ……やべッ!それ、あたしんだ。ありがとうございます」

 百枝女史が、大あわてで頭を下げる。どうやら鉄火なだけでなく、大雑把な性格でもあるようだ。

「どこに入れてたんですか……またポケットでしょう」

「う、うるさいな。大丈夫だろうと思ってたんだよ。……そ、それじゃ失礼します」

 きまり悪そうな顔をする百枝を引っ張るように、瑞香はその場を去って行く。

「……全く、仲がいいもんだね」

 腐れ縁の仲だろうと思われる二人を苦笑して見送りながら再び橋へ歩みを進めると、不意に眼の前に影が立った。

「あれ?いなさんじゃないですか。お久しぶりですね」

 こんな少女の声で自分を苗字で呼ぶ者というと、一人しかいない。

「ありゃ、シェリルか……こっちこそ久しぶり。どうしてまた、こんなところで」

「まあ、ちょっと用がありまして」

 シェリルは少々言葉を濁した。非番ならはっきり言うはずなので、刑事として余り一般人に言えないような仕事でもしていたのだろうか。

「それより、禾津さんこそどうしてまた」

「ああ、それは……」

 問われて連載小説の件を話すと、シェリルは、

「無茶振りしますね」

 じとりとした眼になった。

「全くな……。でも、市内に出る機会が出来たと思えばいいさ。こうして歩いてるだけでも、何かあると意外とぴんとひらめくもんなんだ。さっき会った女性二人連れも、凸凹コンビっぽくてアイディアになりそうだったし」

「……あれ、それってもしかして、あの遠くにいる二人連れの人間の方たちですか?」

 ひょいと後ろを振り返ると、遠くの方でまた百枝が信号待ち中に瑞香に説教でもされていたらしく、げんなりとしている姿が小さく見える。

「どこかで見たような後ろ姿なんですよねえ、片方の人」

「本当に知り合いだったりしてな。首都っていろんなとこから人来るし」

 少し笑うと、啓一は先ほどから気になっていたことを訊ねてみた。

「そういやさ、新星の街って東京を真似てる?」

「全体的にかなり真似てますね。程度は場所によっていろいろですが……。この筋違橋は完全に昔の数寄屋橋のコピーですね」

「そうなのか。実は俺の世界の数寄屋橋も、昔はこんなんだったんだよ。どうやら俺の世界の東京とこっちの世界の東京って、普通に共通点ありそうだなあ」

「有り得ますね。橋一本だけ一緒というのもちょっと考えづらいですし」

 そこで啓一は、ふと思い立ってある謎かけに挑んでみた。

「……君の名は」

「真知子……って答えさせる気ですか。古いにもほどがありますよ」

「じゃあそれ知ってるお前さんは、一体何なんだ」

「何百年経っても名作は名作だからいいんです。何なら主題歌だって歌えますよ」

おりしげさん知ってるとか、ますますどういうこったい」

 このやり取りでとする読者は、今やもうほとんどいないかも知れぬ。

 これは戦後すぐに大ヒットしたラジオドラマにして、ついには映画にもなった『君の名は』を下敷きにした謎かけであった。

 この作品で重要な舞台の一つが、現役時代の数寄屋橋なのである。ただし実際にはこの時ヒロインは名を告げていないため、厳密にはこのやり取りは間違いなのだが。

(こっちの世界で通じるとはな。数寄屋橋も一緒だったみたいだし。ということは、思ったより一致してる部分が多いのか……)

 こんなつまらないやり取りに元の世界との接点を感じて安心した気分になっている啓一をよそに、シェリルは不満そうに話し続ける。

「そんなこと言ってますとね、あの作品よろしく恋人とすれ違いばかり起きてろくなことになりませんよ。こっちでも『筋を違える橋』っていう文字面や響きから、恋人同士で余り長くいるとよくないなんて迷信があるくらいなんですから」

「はは、そりゃまた。恋人なんて未来永劫出来ないから大丈夫だよ」

「……一つ屋根の下に女性と暮らしておいて、この人は」

「しょうがないだろ、あそこまで言われて断れるわけないじゃないか。第一、最終的に承諾したのはお前さんも一緒じゃないか」

「いやまあそうですが……」

 そんなたわいもない話をしながら筋違橋を渡りきったところで、啓一はせっかくだからと件の話について訊ねた。

「なあ、英田さんの件ってどうなってるんだ?サツキさんに聞いたんだけど、すぐそばで失踪して目下捜索中だって話じゃないか」

「やっぱりその話、サツキちゃんから聞いてましたか。まあ知った以上は禾津さんも関係者ってことで、言っちゃっていいですかね。ただ路上ではちょっとあれなので、喫茶店でも入りましょう」

「その方が都合がいいなら」

「じゃ、そこの天ノ川劇場裏の喫茶店にでも」

 そう言うと、シェリルはひょいと正面に優雅な曲線のついた劇場を指差す。

(今度は日劇のコピーがお出ましかよ。個人的にはナイスと言いたいが、宇宙コロニーの中だと思うと何とも言えない違和感がな)

 「日劇」とは、昭和八年から五十六年まで数寄屋橋の袂にあった「日本劇場」という大きな映画館兼劇場のことだ。

 どうやらこの界隈の設計者は、レトロ趣味でもあったようである。

 劇場の裏に回ると、そこには雑居ビルに入った何とも古色蒼然たる喫茶店があった。

「……また渋い店を。外見が中学生くらいの子と思うと随分とまあ」

「禾津さんまで……サツキちゃんから聞いてるでしょうけど、私はあなたと歳あんまり変わらないんですよ。アンドロイドだから何年経とうと見た目が変わらないだけです」

 店員の案内のまま空席に座って見回すと、見れば見るほど昔の喫茶店である。やはり失礼ながら、シェリルの外見では違和感がぬぐえなかった。

 注文をすると、水を飲みながらさっそく本題に入る。

「……さて、と。英田さんの件ですが、先に結論を言うと正直進展がほとんどありません」

「サツキさんからまた目撃情報があった、みたいな話を聞いたけどな。あれも駄目だったのか」

「そうですね、空振りです。よく似た別の人でしたよ。これでもう三十一件目……」

「そんなに集まって分からないって、一体どうなってんだ。他の人とかはどうなのさ」

「余り詳しくは言えませんが、やはり二十や三十は情報が来て全部駄目ってパターンですね。一人たりとも分かっていません」

「そこ来て人数増え続けてるから大変だよな、こないだ十八人目が出てるだろ」

「そうですね……」

 シェリルが悄然と言ったところで、頼んであった珈琲が運ばれて来た。

「ああいや、責めてるんじゃないんだけどな。殺人とかなら明確に犯人がいるから何とか対処が取れるが、失踪は基本原因不明で状況不明なんだから防ぎようがないじゃないか」

「でもそれ、言いわけにしてられないですからね。不気味な事件によって市民が心理的に脅かされているにも関わらず、まるで糸口がつかめず次々とというのは一緒ですし」

「うーん……」

 珈琲を一口飲んで、啓一は苦い顔をする。

 いつでも自由奔放とのことらしいが、それでもこれだけの事件の捜査で指揮を取る身、やはり責任と重圧を感じているようだ。

「打開の糸口が見えないのはつらいよな。それで、個人的な意見なんだが……これって拉致事件だったりはしないのかね。それならやりようはありそうだが」

 カップを置くと、啓一は少々話の流れを変える。

「それですか、拉致の線も実は考えています。ただし、いくつかの事件……特に英田さんの件を含む新星での事件はかなり人出の多い繁華街、それも深夜まで裏道でも人が普通にうろついているような場所で起きてるんですよね。こんな環境で拉致なんて、闇社会の連中でもよほど度胸がないと……」

 そもそもそんな度胸いりませんがね、とシェリルは半分ほど飲んだ珈琲を置いて言った。

「ただ、新星警視庁から気になる事件の話が回って来まして。拉致未遂と思われる事件に巻き込まれた人が出ていたんですよ。それも組織的犯行とも取れるきなくさいものに」

「何だって?」

 そうして話すところによると……。

 被害者は神社関係団体である「天ノ川神社連盟」が開いた会合に別のコロニーの代表として参加するため、知り合いの神社に逗留していた巫女だったという。

 それが先日夜、急ぎの買い物に出かけた際に筋違橋の上で二人の男にからまれたのだ。

「幸い神社の隣家のご亭主が袂を通りがかり、飛んで行って救助に成功したんです。犯人には残念ながらあと少しのところで逃走されてしまったのですが……」

 これだけならば破落戸ごろつきにからまれたというだけで終わりだが、被害者に話を聞いてみると犯人が妙なことを言っていたことが分かった。

「『この女を連れて行けりゃ汚名返上だ』『上の連中が見てるんだぞ!早くしろ』など、明らかに拉致の意図が感じられる言葉や、さらに上に指示する人物か組織がいることを示唆することをしきりに言っていたそうでして」

「そいつらは拉致を指示された三下だったってところか……。そんな鼠でも、捕まえてたたけばほこりが出たんだろうが、まあ仕方ない」

 珈琲をまた飲み、シェリルはうなずく。

「この事件が失踪事件と関わりがあるかは今のところ不明ですが、もしあるなら失踪ではなく拉致の可能性が出て来ますので、極めて重要な事件です。そういうこともあって、現在警視庁と共同捜査しています。……実はさっき橋を歩いていたのも、現場周辺をを改めて見に来たからなんですよ」

「そうだったのか」

 確かにこの理由ならば、言葉を濁したのも分かった。表でこんな事件の話は長々出来ないだろう。

「収穫はあったのかい」

「残念ながら。もし何か見落としがあれば、と思ったんですが……そういう筋の連中が潜伏してそうな場所というのも見つからず」

 よく考えるとこの街は我々の世界における東京の有楽町、それもまだ瀟洒な百貨店や映画館に混じって雑居ビルが多くあった頃の街並みを再現している。そう治安の悪い街ではないはずだ。

「雑居ビルが怪しいといえば怪しいですけど、この周辺は官庁街の上に警視庁の本庁舎や連邦警察の本部も近いですからね。やくざ破落戸連中が隠れるには最も不適な場所です。いざとなればわっと警察官や刑事や機動隊が隊伍を組んで出て来るんですよ、どだい自殺行為としか」

「は、はは」

 事実なのだが、絵面を想像して軽く引き気味になる。

 それをよそにシェリルは腕時計をふと見ると、

「あっ、いけません。そろそろ戻らないと、部下のみんなにどやされちゃいます」

 あわてたように言った。

「それじゃ、お先に失礼します」

 頭を下げ勘定をして店を出て行くシェリルを見送りながら、啓一はぬるくなった珈琲をすすった。

「さて……どうするかねえ。珈琲一杯じゃ何だ、せっかくだから何か追加で頼むか。……おっ、喫茶店の定番あるじゃないか。こっちの世界でも一緒なんだねえ」

 店員を呼ぶと、ナポリタンを頼む。ついでに、珈琲のおかわりも頼んだ。

(……拉致未遂事件か。明らかにくっせえなあ)

 シェリルは刑事であるし捜査を統括する立場にあるので慎重な態度だったが、実際のところ関係があると踏んでいるだろう。

(だが拉致だったとして、何のために?人身売買ならこんな派手に新聞に載るほど目立った真似はしないだろうし……。かといって借金のかたにとか、そんな感じでもない。身代金目当てなんか論外だ、要求がないんだから)

 啓一はカップを置き、頬杖を突いて考え込んだ。

(警察からいずれ発表があるだろうが、拉致未遂ってだけで女性には外出が厳しくなるな。まあ別事件だった場合男が狙われる可能性もあるから、俺も気をつけないといかん)

 そこで頼んだナポリタンが来て、啓一は思考を止める。

(まあまずは、小説の構想だな……)

 ナポリタンを食べ始めた啓一の視点の先、店の外の道をロードショー帰りと思われる人々ががやがやと歩いて行った。

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