二 二人暮らし(二)
サツキは廊下横の階段を上がって二階へ行くと、奥の方の部屋を指差した。
「ええと、右奥ね。すぐ使えるようになってるから、気兼ねなくどうぞ」
「ありがとう、使わせてもらうよ。よく部屋があったもんだね」
「そりゃ小さくても一戸建てに一人だもの、部屋全部は使い切れないわ」
「……今さら言うのも何だけど、一人暮らしで一軒家って何気なくすごいよなあ。てっきりマンションか何かだと思ったんだけど」
「ここね、元はうちが借家にしてた家なのよ。長いこと借り手がつかないでいたから、独立する時に両親がきちんと維持するのを条件に住まないかって」
「なるほど、有効利用ってわけか」
どうやら真島家、相当裕福な家庭のようである。家二軒持ちというのはなかなかないものだ。
「実家はお母上だけなんだっけか。お父上とお兄さんは地球へとか言ってたけど……」
「そうなのよね。まさか二人とも一緒に行くことになるなんて思いもしなかったから、お母さんも私もびっくりで。親子でそれぞれ一人暮らしなのもどうかって思ったんだけど……独立した手前、戻るってのもそれはそれでちょっとなって」
「そういうものかねえ」
「こっちとしては、家一つ貸してもらってるし余計にね……」
と、その時、携帯電話とおぼしき呼出音が鳴る。
「ちょっとごめんね」
サツキが顔の横で何かを持つような手つきをすると、空間にホログラムのスマートフォンが出現した。獣人用なのか、上に耳に入るとおぼしきスピーカーが浮いている。
「もしもし、シェリル?何か啓一さんのことで……違う?」
本体を動かしてうまくスピーカーを耳にはめると、廊下の端の方に引っ込み会話を始めた。
「そっち?……ええッ、違ったの!?」
聞くまいとするが、どうしても聞こえて来る。打って変わって声に深刻なものがあった。
「……うん、うん、なら今度はそれでお願いするわ。じゃあ、よろしくね」
そう言って電話を切ると、サツキは決まり悪そうな顔でこちらへ戻って来る。
「ごめんなさいね、急に電話来ちゃって」
「いや、別にいいさ」
啓一は手を振って答えた。
何やら面倒ごとでもあるようだが、そんな私的な話にずけずけ首を突っ込むほど無神経ではない。
それを察してか、サツキもそのまま部屋へ啓一を案内した。
「ここ。とりあえず家具はそれなりそろってるし、押し入れの中に蒲団もあるから。みんな古くなっちゃってて申しわけないんだけど……」
「いや、充分充分」
「そう?……あ、そうだ。パソコンも使えるわよ」
「パソコン?あの空中ディスプレイか……でも常にあんなタブレットみたいに画面タッチしての操作じゃ使いづらくないか」
分署で使ったきりであるが、空中にディスプレイが出るはいいものの全部手で直接触れての操作である。屋外や少々使いたい時くらいはいいだろうが、本格的な作業には向かないはずだ。
「いやいや、あれきちんとキーボードも出せるのよ。その要領でデスクトップパソコンも構築出来るわ。テーブルに座って、すっと片手を出してみて。画面が出るから、それを垂直に立てて……」
言われる通り空中ディスプレイを出し、手を垂直に立てると、追従して画面が持ち上がる。
「そこでもう片方の手をぽんと横に置くとキーボードが出て、デスクトップパソコンの出来上がり」
「おお!」
確かにそうしてみると、半透明のパソコンが見事に出現した。
「透明度はキーボードで調整出来るから。デスクトップモードの場合、透けてると見えづらいし」
「こいつはいいな。ちゃっかりマウスもついてるじゃないか」
マウスを手に取りくるくると動かしてみると、これがなかなか具合がいい。パソコンなぞ専門外の啓一にも、相当な性能のものだと知れた。
「あれ?これ、俺専用ってことでいいんだよね?」
「そうそう。本当は申請して使用権をもらう必要あるんだけど、それは後からでも大丈夫だから。というより、あなたの場合はその手続きも警察や行政が代理でやってくれてるはずよ。この世界じゃ、これがないと本気で困っちゃうもの」
「まあ、そうなるよな」
そもそも啓一が元いた世界も、「情報社会」ということで一家に一台以上ないと済まなかったのである。いわんやそこより情報化が進んでいるだろうこの世界をやだ。
「あと電話の使用権も。さっき私がやったみたいにすれば」
「こうな。……お、出た」
先ほどのサツキの手つきを真似すると、果たしてスマートフォンのような電話が出る。
「形は任意に変えられるわ。もっとも人間の人だとその形を使う機会が大半だと思うけど。使い方は触ってれば大体分かるけど、後で軽く説明するわね」
「地道にやってみるさ」
どうやらこの世界では、こういった情報関係や通信関係のものは全て実体がなく、空間からこうやって適宜呼び出すもののようだ。
実体がないということは、電源や電池残量を気にする必要も、破損や紛失や盗難を心配する必要もないことを意味する。
そこへ来てさらにいつでもどこでもいとも簡単に呼び出し使うことが出来るようになっているとなったら、もうこんな便利な話はないはずだ。どれだけこの世界の技術は進んでいるのだろうか。
ちなみに決まった形がないため、この世界では二つ折りのフィーチャーフォンであろうとスマートフォンであろうと、呼び分ける必要がない限り「携帯電話」呼びが普通だ。こちらでもこの習慣に従い、以降特別の場合を除き「携帯電話」と記述する。
ちょいちょい、と手の中の携帯電話をいじっていると、サツキはふっと時計を見て、
「あ、いけない!ごめんなさいね、お夕飯作らないと。呼ぶから、それまでゆっくりしてて」
おたおたと耳の裏をかいた。
「ほんとだ、陽が落ちかけてら。諒解した」
啓一は盆の窪に手をやりつつ、こくりとうなずく。
「一時間くらいで出来ると思うわ、じゃまた」
扉を閉じてサツキが出て行くのを見届けると、啓一はぱたりと寝て天井をあおいだ。
中途半端な空き時間であるし、少々ぼんやりと過ごしたかっただけなのだが……。
これが、いけなかった。
しばらくして、ずんと暗い感情が心にのしかかって来たのである。
(……何でこうなったかね。何でこんなんならなきゃいけなかったかね)
このことであった。
シェリルに一生懸命になだめられ、サツキの明るい話しぶりに引き込まれたことで忘れたかに見えたが、やはり精神的な衝撃はぬぐい去れるものではない。
いやむしろ、さっきまで意識の横に追いやられていた方が奇跡と言っていいくらいだ。「住め」と言われて必死に知識を吸収しようという気持ちが、うまいこと蓋をしてくれていたのだろう。
(異世界転移なんてな……あれは創作だからいいんだよ。実際に起こったら、はいそうですか、なんて誰が言えるか。残して来たものに思いをはせないわけがない)
人は誰しも、なにがしか人にせよ物にせよ大切なものを持っているものである。
元の世界に戻れないということは、それを永久に失うということに他ならないのだ。
(残された側だってかわいそうだ。自分の息子や知人が、生死不明の行方不明のままっていう宙ぶらりんの存在として、自分たちをずっと苦しめて来るわけだよな……)
啓一は、自嘲の笑いが自然とこみ上げるのを感じた。
人が縁者知人を失う中で、残酷なものの一つが「理由なき失踪」である。なまじ生きている可能性があるだけに、残された側にいつまでも思いを残させ苦しめるのだ。
自分の親も縁者も知人も、この件に気づいたら恐らくそうなってしまうに違いあるまい。
そのくせ本人はのうのうと生き永らえこうして寝っ転がっているのだから、実にいい気なものだ。
(無理だよ、割り切りなんざ。いっそこの世界が創作で、作者が神として降りて来たなら……袋だたきにした後、首に縄つけて元の世界に戻させるものを)
思考がぐるぐる回り、繰り言めいて来る。
誰に文句を言っていいか分からぬ状況下で、啓一の頭はだんだん正常な思考力を失い始めていた。
それに気づき、はあ、とため息をついて眼を閉じる。
(ああ、やめだやめ。こんな空想の話、うだうだしてたってしゃあないや……)
そうしてすっと眠気に見舞われた時だった。
ノックがして戸が開いたかと思うと、
「啓一さん、お夕飯出来たわよ」
サツキが呼びにやって来た。
「へ!?……あ、一時間過ぎてら」
そう言って即座に眠気を振り払うと、啓一は下の居間へと降りて行く。
「こりゃまあ、うまそうな……」
眼の前のちゃぶ台には、いかにも「和食」のお手本のような料理があった。
「ごめんなさいね、あり合わせのもので」
「いやいや、しっかりしてるよ」
これはお世辞ではない。正直なところ、量を除けばそこいらの旅館の食事でも通るものだった。
日本的すぎていささか「異世界」の風味に欠けるが、その方が今は都合がいい。
「では、いただきます。……おっ、こりゃおいしいなあ。結構料理得意なくち?」
「そんな、私なんて普通よ」
サツキは謙遜して笑うが、尻尾がぱたぱた揺れていた。
そもそも、料理がうまいと言われてうれしくない女性はいないだろう。
「ああ、それはともかくとして。実はね、明日どうしても出勤しないといけないのよ」
「えッ」
「本当はしょっぱなから保護した人を一人にするのはまずいし、本当は休みたいところなんだけど……ちょっとどうしても外せない仕事があって。ごめんなさいね」
「家で適当に過ごしとくからいいさ、気にしないでくれ」
啓一はそうは答えたが、まだ会って間もない男を女性が自宅に一人置いて行くというのは正直どうなのか、と思わなくもなかった。だがサツキも勤め人である以上、簡単に休みますとも言えまい。
ここで啓一は、ようやくサツキのことをしっかりと見た。
病院で見た時にも思ったのだが、頭の上で直立した大きな耳が目立つ。
絵で見られる狐耳の中でも、一番「狐」を主張している形だ。稲荷神社の神使の狐の絵や像にも見られる伝統的なスタイルである。
それは新鮮で済むのだが、少々童顔のきらいがあって歳が分からないというのに戸惑った。未成年に見えなくもないが、言動をはじめほぼ全てが明らかに成人のそれである。
(二十代なのは間違いないだろうが……どうにもこいつは見当がつかないな)
と、そこで啓一は、にわかに分署で手を握られた時のサツキの顔を思い出した。
あの時、ちょいと片眼を閉じて人差指をあごに当て、いかにも「かわいらしいお姉さん」という顔をしていたような……。
「どうしたの?何かつっかえた?」
「あ、いや、何でもない、何でもない」
「ならいいけど」
妙なところでサツキに問われ、必死になって否定する。一体どんな顔をしていたというのだ。
(ま、まあ、美人だからいいとしよう)
そんなことをしている間にも、箸は進む。気づくと、結構な量を一人で食べていた。
「あッ……いや悪い。食い過ぎた」
「いいのよ、いいのよ」
「いいのかい。いやあ、昔より食えなくなったはずなんだがなあ」
照れ隠しにそんなことを言ってみせる。元より今の自分にとって元の世界の空気を多少なりとも再現する存在であるこの夕食を、残す気なぞさらさらなかった。
「ごちそうさま」
「お粗末さまでした。……ええと、それでお風呂なんだけど、今気づいたことがあって」
「ん?いかれでもしてるのかい」
「そうじゃないのよ。衣類の給付手続きをしてもらうの忘れてたの……」
「あッ、そうだった」
ひどく申しわけなさそうに言うサツキに、啓一は思わず声を上げる。
そうである。完全に着の身着のままで来たため、着替えなぞあるわけがないのだ。
サツキは大あわてで空中ディスプレイを出し、どこをどうやったのか転移者向けの案内文が載っているページを出してみせる。
「ここにしっかり書いてあるわ。これ啓一さんしか申請出来ないから、自分で選んでもらわないといけないのよ。シェリルに言われてたのに、すっかり頭から抜け落ちてたわ……」
ディスプレイから手を浮かせたサツキは、やってしまった、とばかりに頭を抱えた。
「……じゃあ、下着や寝間着はどうしたらいいんだ?」
「それは今からでも大丈夫みたいね。『よくある質問』見ると、警察と役所から業者や郵便局に通達が事前に行ってるから、簡単なものはすぐに届けられるようになってますって」
のぞき込むと、確かに対象として「下着」「パジャマ」が入っている。
「それじゃ頼んじゃうか。サイズは分かってるし……他は後回しにして、とりあえずそれらだけ」
まさかサツキの画面を使うわけに行かないので、啓一は大急ぎで自分の画面を出し選び出した。
とりあえず当座必要となりそうな分だけを選び、配達時間を確認する。
「一時間かからないな、これ。何とかなりそうだ」
「そう、ほっとしたわ」
「いやあ、互いに気づいて本当によかったよ。上はまだ許せるにしても下着はな……」
いくら異世界でも着たきり雀でよいわけがないはずだ。着替えをしない男なぞ、美少女はおろか年輩の
(……こういうところをうやむやにしておけない辺り、やはり現実なんだな)
啓一は思わず、表情を暗くした。
さて……。
それから二時間ほど後、頼んだ衣類が届いたのを見計らって風呂に入った啓一は、頭をふきながら部屋でくつろいでいた。
順番はサツキが先である。衣類待ちであったのもあるが、啓一が遠慮したのだ。
(いい湯はいい湯だったが……気を使うなあ)
実は啓一、ほとんど鴉の行水に近い状態で風呂を出ている。
これが普通の家ならゆっくり出来たのだろうが、何せ女性の一人暮らしにむさい男が割り込んで共同で使うのだから気が気ではないのだ。
(彼女全然気にしてないみたいだが、あれで大丈夫なのかね)
分署での言葉通り受け取ればこちらを信用しているということなのだろうが、まさか何年も一緒に暮らしている兄弟でもあるかのように気安い扱いを受けるとは、一体誰が思おうか。
男に対し警戒心がないのか、それとも無頓着なのか。どうにも分からぬが、あそこまで気にする気配もないと逆に心配になってしまうほどだ。
そんなことを考えつつ、啓一は再びテーブルの上にパソコンを呼び出してネットにつなぐ。
この世界について多少調べてみることにしたのだ。
「ちょっと説明してもらっただけであの長さだ、せめて国やこの街の基礎情報くらいは先に仕入れないとサツキさんが大変過ぎる」
このことである。
啓一は基本的に行動を起こす際、環境が許せば必ず関連情報を仕入れておくことを心がけている。
特に今回の場合、全く知らない世界だけに質疑応答が烈しくなるのが目に見えているのだから、基礎的な部分は押さえておきたいと思ったのだ。
「首都はこの街として……政体は連邦共和制、元首は大統領。国号からしてそうだとは思ったが」
だが大統領制ではあるが、ここの大統領はあくまで「国の象徴」としての権限しか持たず、実際の政治は首相が行っているという。
「まあ妥当な線じゃないかね。元々立憲君主制の国の国民が大統領制に慣れそうにも思えないしな」
また連邦制も国土が「コロニーの集合体」という形を取っているために半ば形式的に採用されているようなもので、実質は中央集権制のようだ。
「一つのコロニーが一つの『市』の扱い。『市』が唯一の自治体で都道府県の類はないのか」
多段階で設けられていないというのは実に意外な話だが、コロニーの新規建造ですぐに国土が広がるという性質上、上位の自治体を作ってもそのたびに改変が続き面倒になるからという理屈らしい。
複数コロニーで『地方』として緩やかな連帯を行い、最も栄えたコロニーを中心扱いするようなことはあるようだが、それで自治体を作るということもないようだ。
このような構造のため各コロニーの行政は、日本なら都道府県が行うものも市が全て行う形となっており、その権限は地球の「市」よりはるかに大きい。
もっとも一部に関しては市のみにまかせず、連邦政府が一緒に担当するものもあるようだ。
警察が代表的なもので、市の「市警察」と国家警察の「連邦警察」の二つが存在している。
「連邦警察って、市を越えた広域犯罪や組織犯罪の捜査を行うための警察か。特殊犯罪や異常犯罪も管轄となると……要は米国のFBI(連邦捜査局)みたいなもんか」
市警察と同じく地域の市民相手に動くこともあるため完全に同じとは行かないが、それ以外はまさにその通りで、シェリルはあんな小さななりをしてとんだお偉いさんだったわけだ。
「ああ、防衛はやっぱり『自衛隊』なのか。日本だなあ……」
日本人としては、どうしても日本にあるのは「自衛隊」という意識が強い。ここも日本人移民の国ということでそれを踏襲したもののようだ。
当然方針は「専守防衛」であり、実戦経験が全くないというところも一緒である。
もっともこれは、コロニー国家同士での戦争が条約で禁じられているということが大きかった。
「戦争行為は最終的に移住者の全滅を招くため」
というのが禁止理由であるが、本来人の住めない場所に無理矢理暮らしているのだから、よく考えれば当然といえば当然の話である。
それでなくとも戦争なぞ積極的にするものではないのだから、これはいいことだ。
この他の基本的な政治体制や社会体制は、日本のそれをほぼ受け継いでいるとも書かれている。もっともこの世界の日本を知らない身、こわごわと自分の世界の日本とどれだけ違うのか比べてみたが、見る限り違う点はぽつぽつとしか見当たらなかった。
さらにいろいろと新星市に関して地図などを見て情報を仕入れたが、
「どのみち案内してもらうんだし、百聞は一見にしかずってなもんであとはそっちに投げるか。必要があったらまた追加で調べればいい」
この辺りで切り上げてしまった。こういうことを調べ始めてはまってしまい、夜が明けていたなどというのは一度や二度ではない。
「あと、どうするかねえ……ニュースでも見てみようか」
適当にのぞいてみると、元の世界でも見るような話題や記事が多く並んでいた。
多少種族に関する話などこの世界らしいものもあるが、いつの時代でもどこであっても人のやることはさして違わないらしい。
「『特集・女性連続失踪事件』か……ぞっとしねえもん起きてるな」
単独特集記事になっているところを見ると、かなり深刻な事件のようだ。
全国で若い女性が月当たり二人から三人程度失踪しているという不気味極まりない事件で、特異かつ重大な事件として連邦警察が捜査しているらしい。
「シェリルんとこも大変だな……。あいつの部署の担当かは知らんけど」
細かいことが分からない以上読み込んでも仕方ないので、戻ってまた記事をつまみ出す。
その時であった。
「……ん?『
芸能記事として、少々異質なものが載っていることに気づく。
「『UniTuber』ってあれか?俺の世界の『YouTuber』と同じもんかね」
見て行くと、どうやら当たりらしかった。「
こちらでの「UniTuber」はどうやら老若男女に受け容れられて芸能人に準ずる地位を獲得しているらしく、大手から中小までさまざまなUniTuberの動向を追った記事が掲載されていた。
さっと斜め読みしてみると、どうやら「エレミィ」という個人の女性UniTnberが最近急速に登録者数を伸ばし、にわかに注目を集めているらしい。
記事には長めのゆったりとした白いワンピースを着た、緑色の腰まである長髪と紫の眸を持つおとなしそうな童顔の女性の写真とコメントが掲載されていた。
「ほう……なかなか清楚な人だな。人気なのも何となく分かる」
少々興味を示して、せめて自己紹介動画でも見るかと思って検索しようとした時である。
視界の隅に入った時計が、今しも十二時を指さんとしていることに気づいた。
「やべっ、てっぺん回る!」
そう叫ぶように言い、大急ぎで電源を落としそのままベッドへ飛び込む。
闇の中啓一はしばらく
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