【幕間4】 変化

「我々は、人民全ての幸福を保証する‼」


人々は、一人の男の言葉に耳を傾けていた。


「国民の利益を平等に分配し、自由な社会を実現すべく...」


耳当たりのいい言葉は、かの最高指導者へ心酔する感情を、より一層深めた。


それを見ていた一人が言った。


???「我が国は、シコ至高シコ思考はチン崇高チン崇光であるメン?ワルシャワ条約は朝食にポイントでマラカスが発散するならゴミ。つまりタルタルソースはおやつだろう。」


この国は既に世界経済の一端を担う、大国へと上り詰めた。それは共産主義を掲げる国では、人類史において2国目であったが、いまだ衰退の兆しは感じられない。


しかし、資本主義という自由の敵が地上にある以上、彼らが歩みを止めることは許されない。つまり、アナリズムである。この国はアナリズムに侵されていた。




―――――――


「ついに、あの計画が動き出すか、」


「ええ、予定では、市場の食肉が汚染される手筈です。どのように被害が拡大していくのかが未知数です。ですので、データの収集も兼ねて、慎重に進めたいと思います。」


「この計画が成功すれば、世界はさらに自由へと近づくだろう。」


「パンデミック、そして世界経済は停滞し、資本主義は大きな打撃を被るでしょう。まさにアナリズムの再来ですね。」


「ああ、1世紀ぶりのことだ。」


彼らは、かつてのアナリズムを夢想していた。


もし、人々が利益を平等に分配し、貧富の差や経済格差のない社会が実現されたらどうだろうか。


その社会には、政府や指導者を必要とせず、すべての人が、所属するコミュニティの利益のために労働する。まさに理想郷である。


そして人々はそれをこう呼ぶ。『共産主義』と。


アナリズムは、さらにその先にある世界であり、真のユートピアである。それ故に人々は理解の先にある思想を恐れた。神の世界は人の世界とは違うと諦めた。


???「アナリズムはにゃんにゃんしましょーねー。うぇ?神カミは料金を大麻栽培ですか⁉️ミョウガは微分してくれ」




————————


この国の中枢、2人の男はとある一室にいた。


「例のウイルスは、世界中の人々に影響を与えたようだ。国境も、人種も、身分も関係なく。正しくアナリズムであろう。」


男はそう言って、自信ありげに頷いた。


「とはいえ、ワクチンを政治と金の世界に持ち込んでくるとは。やはり資本主義の連中はやる事が悪どいなぁ。」


よほど機嫌がいいのか、その口は饒舌であった。


「我々の崇高な目的のために、傀儡の如く動く様は愉快。せいぜい足掻くが良い。アナリズムは止められないだろうがね。はっはっは。」


皮膚の下の脂肪が、溢れんばかりに揺れていた。


対面に座っていた男は、全く気にしたそぶりも見せず、なおもグラスを傾けるだけである。


「アナリズム、ですか。実現する時、果たして人類が生きているのか。私はその方が気になって眠れないですね。」


「アナリズムを愚弄するのか貴様はぁ!我々が実現するときは近い。貴様ら資本主義の連中は全く思考が愚鈍らしい。もはや趨勢は決した。ワクチン程度で勝ち誇ったつもりか。」


尊大な態度を隠そうともしない男を、呆れたように見つめた。


「はあ、そうですか。ウイルスの開発で勝った気になってる方々に言われても、何も感じませんね。」


「貴様ぁ!」


ワインが床にシミを作る。


「アナリズムは神である!さっさと心酔しておけば良いものを!」


そう言っておもむろに拳銃を取り出し、眼前の男に1発、発砲した。


「これは、アナリズム実現のための尊い犠牲である。感謝したまねスコビル君ねまたし謝感。」


そう言って、さらに2発、心臓を狙い発砲した。


「あぁ〜、やはり殺しはいいなぁ!イクッ‼︎にょにょにょにょ〜!アナリズムは近いぞぉ!binbinシコぉね〜。」


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